034. ビフォー・アフター(23年版)

Q:「住まいの修繕の先送りは禁物」「価値劣化で負動産リスク」とは?
 国は住まいの適切な維持・管理を後押しするため「老後に備えるリフォーム(バリアフリー等)」「省エネリフォーム」「耐震リフォーム」などへの補助金や税制特例を多く用意している(「所得税優遇制度」「固定資産税減額制度」「補助や融資等の公的支援制度」等)
 しかし 支援対象は耐震性や省エネ性など住宅品質の向上につながるリフォームが中心で 「老朽化による雨漏りの修繕などで支援を受けられるかはわからない」・・・どのように対策したらいいでしょう?


所得税の主な優遇制度(2022年度税制改正)

リフォーム税制(所得税)
控除率:10%(所得税額から控除)入居期限:2023年12月(*1)
対象工事(必須工事) 控除対象限度額
・バリアフリー 200万円
・耐震
・省エネ
・3世代同居
250万円(*2)
・長期優良住宅化 耐震+省エネ+耐久性向上 500万円(*2)
・長期優良住宅化 耐震または省エネ+耐久性向上 250万円(*2)
(下記必須工事と併せて行う)その他工事
控除率:5%
(*4)
最大(合計)控除額
・バリアフリー 60万円
・耐震
・省エネ
・3世代同居
62.5万円(67.5万円
*2)
・長期優良住宅化 耐震+省エネ+耐久性向上 75万円(80万円
*2)
・長期優良住宅化 耐震または省エネ+耐久性向上 62.5万円(67.5万円
*2)


(*1)耐震改修は工事完了期限
(*2)省エネで窓の断熱改修に加え太陽光発電設備を設置する場合は100万円上乗せ
 (これまでは 省エネ断熱工事で窓を二重サッシにする場合 全ての居室の全ての窓を交換する必要があったが 改定で 今後は一部の窓を交換すれば減税対象に)
(*3)制度の対象になる費用は実際の費用ではなく 国がリフォーム工事ごとに定めた「標準単価」が基準になる
(*4)必須工事の対象工事限度額を超過する部分および対象工事と併せて行うその他のリフォームについても 必須工事全体に係る標準的な費用相当額の同額まで(必須工事と併せて合計1.000万円が限度)の5%をその他工事分として所得税額から控除
 利用者は建築士などに「増改築等工事証明書」を発行してもらう事が必要

住宅ローン減税(増改築)
借入限度額 控除率 控除期間 入居期限
2000万円 0.7% 10年間 2025年12月

*借入額2000万円を限度に年末残高の0.7%を10年間 所得税から控除 所得税から引き切れない場合は 翌年の住民税の納税額が減る



固定資産税の優遇内容 (2022年度税制改正)

対象工事 減額割合 減額期間 工事完了期限
耐震 1/2 1年(*1) 24年3月
バリアフリー・省エネ 1/3 1年 24年3月
長期優良住宅化(耐震または省エネが条件) 2/3
*2)
1年 24年3月

(*1)耐震改修で自治体が指定する重要な避沿道は2年間
(*2)耐震改修で自治体が指定する重要な避沿道は2年目は1/2
(*3)所得税の優遇制度と合わせて利用できる(条件は異なる)
(*4)工事完了から3ヶ月以内に市区町村に減額申請する


〇 その他の利用可能な「リフォーム関連制度」
 制 度  対 象  内 容
居宅介護住宅改修費給付 ・「要介護」「要支援」の認定を受けた人 ・介護保険にて 手すりの取り付け、段差の解消、階段の付け替えなど対象工事にかかる費用を支給 上限20万円(1割自己負担)
グリーン住宅ポイント *2021年12月15日でポイント発行申請の受け付けは終了  
すまい給付金 *2021年12月末をもって終了  
長期優良住宅化リフォーム推進事業   ・耐震性・劣化対策・省エネ性など基準を満たすことが条件
・工事前にインスペクション(建物状況調査)が必要
こどもみらい住宅支援事業 2022年10月31日までに締結した契約(新築売買、リフォーム等) ・子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯)・若者夫婦世帯(夫婦いずれかが39歳以下の世帯)を対象とし、自ら居住を条件に最大100万円の補助金を交付
・リフォームの場合は 全ての世帯を対象とし、最大30万円の補助金を交付(子育て世帯・若者夫婦世帯の場合等に最大60万円までの上限引上げ特例がある)
リバース60   ・住宅の建設、購入、リフォーム、借換えに利用できる(シニア向け住宅ローン 民間金融機関が住宅金融支援機構と提携)→ 融資の限度額その他の商品内容は、金融機関ごとに異なるが リフォームの内容については「バリアフリー」「省エネ」「耐震」等に限定されることはない
高齢者向け返済特例制度 ・60歳以上向けのリフォーム融資 ・部分的バリアフリー工事、ヒートショック対策工事または耐震改修工事を含むリフォーム(住宅金融支援機構)
リフォーム瑕疵保険   ・工事に欠陥が見つかった場合 補修費用などが事業者に支払われる
リフォーム見積り相談制度   ・リフォーム業者から提示された見積書について 不要な項目がないかや費用が一般的な相場と比べて高すぎないかなど 専門家が点検
自治体ごとの制度 ・要介護認定等を受けていない65歳以上の高齢者等 ・自治体が独自のリフォーム関連支援制度を設けている場合があります 

*住宅リフォーム税制の各種制度の併用の可否等 最新の情報については各地方公共団体にお問い合わせください

 前述の「リバース60」(リフォームの内容については「バリアフリー」「省エネ」「耐震」等に限定されることは ほとんどない)と「高齢者向け返済特例制度」(部分的バリアフリー工事、ヒートショック対策工事または耐震改修工事を含むリフォームと併せて行えば ほとんどのリフォーム工事が対象)
 ①②の両方とも 自宅を担保にリフォーム資金を借り、死後に物件を売却するなどして元本を返済する「リバースモーゲージ」の一種 自宅は相続人が元本を一括返済しないと引き継げないため 家族などと話し合うことが必要

 

 → 「高齢者向け返済特例制度(リフォーム融資)(住宅金融支援機構)
 → 「リバース60」(住宅金融支援機構)




・地方自治体による住宅関連の補助制度の例

補助制度 内容
家庭における熱の有効利用促進事業(高断熱窓・ドア) 高断熱窓・ドアへの改修の経費の一部を助成
雨水貯留タンク設置補助制度 雨水貯留タンクの購入・設置工事費用の一部を補助
家庭用生ゴミ処理装置等購入費助成制度 生ゴミ処理装置購入費用の一部を助成
生垣造成補助金交付事業 生垣設置費用およびブロック塀などの撤去費用の一部を補助
住宅・共同住宅用自然エネルギー・省エネルギー機器等導入費助成 省エネルギー機器などの購入・設置工事費用の一部を助成
移住促進奨励金 市区町村外からの移住者に住宅取得費用の一部を補助など


 家計にとって大きな資産であるマイホーム 長く住むには建物の適切な管理が大切 ここ数年のコスト上昇による修繕費の負担増で「資金捻出に苦労する世帯は少なくない」
 かといって「住まいの修繕の先送り」をしていると その価値が劣化し(負動産リスク)売りたい時に 買い手がつかず 例えば 老後に家を売って住み替えたり 高齢者向け施設に入ったりするというライフプランが狂いかねない

 「老後に備えるリフォームは早めにしておくことは大切」高齢になると一般的に身体機能が低下し 日常生活で転んだり落下したり また「ヒートショック」(心筋梗塞や脳卒中につながりかねない)等の事故にあう可能性が高まる 特に注意を要するのが自宅 介護に備え 税の優遇制度等も活用し 優先順位を決めて 費用を見積もり 貯蓄等で備えていきたい
 どこかのタイミングで インスペクション(建物状況調査)(建築士など専門家が建物の劣化状況などを調べる)を利用する事は大切 工事が必要となる部分や時期が概ね把握できるので 計画的にリフォーム資金の貯蓄ができる また 防水工事等 予防的に実施するほうが費用が安くなる場合も多く 早めのリフォームは効果がある







・入浴中に亡くなる人は 全国で年間約14000人と推測されていますが(交通事故死は約7000人) 原因の多くはヒートショックであると推定されている ヒートショックによる血圧の変動は心臓に負担をかけ 心筋梗塞や脳卒中につながりかねない ヒートショックの予防のため 脱衣所やトイレを暖めておきましょう

 → ブログ「099. 熱中症」もご覧ください






 小学校の壁に「整理・整とん」「廊下を走るな」の張り紙がありましたが あれは子どもたちの「安全」「けがをさせない」という先生たちの心配りだったのですね 今になって痛感いたしました それにもかかわらず毎日やってた ” 悪事 " の数々 ごめんなさい それにしても大きな事故がなくて本当に良かった

(大改造!!劇的ビフォーアフター(テレビ朝日系列 番組のファンです)リフォーム(と整理整頓)で家族の問題を解決しましょう)

2021年09月16日