その④「子孫に美田を残す」高齢化社会での 円滑な資産の継承のために |
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「子孫に美田を残す」:老子の有名な言葉「子孫に美田を残さず」の逆を言っているのではありません 「遺産相続」ならぬ「遺産争族・争続」になりかねないケースや 「不動産」が残ったが それが「負動産」だったようなケース 「遺産分割」について何の対策もないまま「遺産相続」が始まってしまう様なケース・・ その対策・対策の盲点も含め ありがちな「争族・争続」のケースを おもに Q&A方式 でランダムに 挙げていきます *「美田」とは 争いのない・心配事がない「円滑な資産の継承・相続」を指す |
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Q:子供が2人いますが、相続財産が自宅のみです 自宅不動産を子供2人の共有名義にして相続させようと思いますが その場合のメリット・デメリット また、対処法を教えてください |
・ 相続で共有名義となる主な原因 ① 土地や建物を守りたい相続人と売りたい相続人がいる ② 一方の相続人が土地を、他方が建物を相続することになる ③ 親の住宅ローンが残っておりどちらかの単独名義にできない ④ 均等に分割することができず 遺産分割協議がまとまらない ⑤ 遺言に一人の相続人に不動産のすべてを相続させるとあり 他方が納得しない ⑥ 売却がうまくいかず 相続人同士で押し付け合う ⑦ 不動産の評価方法で意見が分かれる ⑧ 何代も前から相続登記がされておらず子供2人以外にも相続人が他にもいそう 等 |
・不動産の共有名義での相続・保有 メリット(短期的なメリットのみ 長期的にはない) |
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〇共有のままにして何もしなければ法定相続分で平等に分けることとなり争いが起きない・費用がかからない・手間がかからない(相続は移転登記の義務がない(なかったが 23年4月 改正不動産登記法)変更は移転登記費用がかかる 手間もかかる) 〇相続した不動産が収益物件なら、持分に応じて利益を受け取る権利も取得できるので分配が楽 |
・不動産の共有名義での相続・保有 デメリット |
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●「変更または処分」(建て替え・増築や売却)を行う場合には共有者全員の同意が必要、「管理」(共有物を他人に貸す等)を行う場合には過半数の同意が必要 共有者の反対によって何も出来なければ資産価値を損なう原因に → 「塩漬け不動産」に ● 相続で共有のまま放っておくと2次相続、3次相続と雪だるま式に共有者が増え容易に所有者が特定できない物件に → 「所有者不明土地」に ● 持分だけの売却も可能なため、見知らぬ他人が持分を買い共有者になることも → 「負動産」に ● 「共有物分割請求訴訟」(共有者の間で協議が難航する場合に 裁判所に共有解消の判断を求める(調停を経る)) 分割請求訴訟の手順などがより明確に(23年4月 改正民法) まず 「現物分割」や「代償分割」を検討し いずれも実施不可能ならば「換価(競売)分割」の判決に → ・ 競売では物件の売却価格が市場価値を大きく下回り 当初想定していた金額を得られないことも ・ 判決が当事者全員にとって納得できる内容になると限らず 感情的なしこりが残ることも |
*改正不動産登記法・改正民法については → ブログ「083. 所有者不明土地」をご覧ください |
A:対処法 ① 「生命保険で代償金や納税資金を準備できる」 相続財産が不動産だけのような場合「代償分割」での代償金を生命保険金で準備できる 例えば、ある相続人に不動産を相続させる代わりに、他の相続人には代償金を支払うという場合(争いを避けることにも繋がる)また、相続財産が現金やすぐに換金できる財産ではない場合、相続税の支払いに困るということがあるが・・・ 相続人を 生命保険の受取人にしておけば相続税の納税資金になる(相続税の納税は被相続人が亡くなってから10カ月以内) → Q&A「保険」のページにて |
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A:対処法②不動産を将来的に兄弟・親戚等で共有せざるを得ない場合、「家族信託による受託者・受益者の指定」により共有不動産の塩漬け等のトラブルを回避できる → ブログ「088. 家族と信託」 もご覧ください |
Q:夫が先日 病死しました 詳しくは分かりませんが 生前、莫大な借金をしていたと思います 借金を背負いたくないので「相続放棄」をしようと思いますが
注意点はありますか? また、「相続放棄」をしても「受け取れる固有の財産」というものがあると聞きました それはどういうものでしょうか? |
〇「相続放棄」は 多額の負債を放棄したい場合のほか 負担の大きな財産(例えば 遠く離れた田舎に広大な農地のある実家があるような場合)を放棄したい場合にも当てはまる 〇「相続放棄で相続税対策する」→「相続放棄」をした場合 次順位の人が相続人となるが(例えば 故人の父親が相続放棄することで 3人の兄弟姉妹に相続権が移る場合等)相続税の基礎控除や生命保険金・死亡退職金の非課税枠が増える |
●「相続放棄」をした場合 次順位の人が相続人となってしまう 被相続人やその子達と疎遠になっている場合もあり 突然 想定外の借金等の弁済請求を受け困惑する事も → 「負動産」に ●被相続人の遺産が「共有財産」の場合 被相続人名義の共有持分を誰も相続しないと「相続人不存在」と言う事になり 仮に 他の共有者が共有していた不動産の売却を行いたくても、被相続人の共有持分を処分する事ができない → つまり売れない「負動産」に |
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・「相続放棄」につい詳しくは → Q&A「相続・贈与」のページにて |
Q:「配偶者居住権」を設定した遺産相続とは? |
・「配偶者居住権」:被相続人が亡くなった後も引き続き自宅に無償で居住できる |
〇 相続人である妻(後妻)と子ども(先妻の子)に直接的な血の繋がりがない場合「配偶者居住権」を後妻に、「所有権」を先妻の子どもに設定することで 二次相続で先妻の子どもに相続できる → もし「配偶者居住権」を設定せずに後妻が自宅を相続すると後妻が亡くなった場合、後妻の親や兄弟などの親族に自宅が相続される恐れがある |
Q:相続税対策として賃貸アパート経営を考えているがどんなもんでしょう?(いわゆる「サブリース問題」) |
〇 何も活用されていない更地に賃貸住宅を建てることで 資産価値を下げずに評価額が下がり 節税効果が大きい 借入金(建築費)が大きいため相続税を大幅に減額することが可能 〇 サブリース契約の賃貸アパート経営は事業収支が安定的とされ金融機関から巨額な建築費用等の融資を受けやすく長期のローン返済もしやすいとされる |
Q:約40年ぶりに相続法が大きく改正されたということですが、何が変わったのですか? |
① | 「(被相続人が亡くなった場合の)配偶者の短期居住権(6ヶ月~1年)の創設」(相続問題に直面し いきなり家から追い出される事態を防ぐ) および「配偶者(長期)居住権(原則生涯賃料などを払うことなく利用し続けることを認める権利で、所有権より限定された利用権)」の創設 相続財産として所有権より低額となるため、結果的に配偶者を保護できる |
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② | 「結婚20年以上の配偶者に対する住宅贈与(遺贈も対象)の場合の(法定相続分への)持戻し免除の推定規定の創設 (現行法上の「配偶者に対する贈与税の特例制度」は、結婚20年以上の配偶者に対する住宅贈与の場合、遺言などで「自宅は遺産に含まない」といった特別の意思表示があれば自宅は遺産分割の対象にならない)(しかし配偶者への財産の贈与は一般的になじまない) |
③ | 自筆証書遺言を法務局に預けられるようにする制度を創設(検認不要に) |
④ | 自筆証書遺言に添付する財産目録のパソコン作成が可能に |
⑤ | 遺留分(法定相続人のうち配偶者、子(代襲相続人を含む)、直系尊属のみに認められた相続分の最低保証枠)の請求は金銭によるものとし、金銭債権として一本化された 従来の「遺留分減殺請求」ではなく「遺留分侵害額請求」に |
⑥ | 被相続人の介護や看病に貢献した相続人ではない親族の金銭請求が可能に「特別受益・特別の寄与」 |
⑦ | (遺言に関わらず)法定相続分を超える財産の取得には登記が必要に(改正前:遺言が優先 改正後:登記が優先) |
⑧ | 相続預金の払い戻し制度(生活費や葬儀費用の支払い、相続債務の弁済など、お金が必要になった場合)遺産分割協議中でも被相続人名義の預貯金の一部(預金額
X 1/3 X 法定相続分 1金融機関当たり150万円が上限)払戻し可能に また調停中でも裁判所が認めた分は換金可能 |
⑨ | 遺言執行者について明記 |
〇「遺言の活用」:「遺言」は、被相続人の最終意思を実現するもので,これにより相続をめぐる紛争を事前に防止することができるというメリットもあるとして「遺言の活用」を勧めている 特に自筆証書遺言については改正点が多い *「自筆証書遺言」に添付する財産目録のパソコン作成が可能に * 「自筆証書遺言保管制度」 自筆証書遺言を法務局に預けられるようにする制度を創設(検認不要に) |
*遺言作成のポイント ① 遺産の分け方を明確に書く → 誰に、何を、いくらを明確に ② 相続人が納得できる分け方に → 特別受益 寄与分 遺留分に注意 ③「付言」を活用する → 遺産の分け方の理由 家族への思いを伝える ちゃんと伝わるように書きましょう そうでないと → 「遺産争族・争続」になりかねない(魑魅魍魎が跋扈することになりかねない) |
Q:「住まいの修繕の先送りは禁物」「価値劣化で負動産リスク」とは? |
国は住まいの適切な維持・管理を後押しするため「老後に備えるリフォーム(バリアフリー等)」「省エネリフォーム」「耐震リフォーム」などへの補助金や税制特例を多く用意している しかし 支援対象は耐震性や省エネ性など住宅品質の向上につながるリフォームが中心で 「老朽化による雨漏りの修繕などで支援を受けられるかはわからない」・・・どのように対策したらいいでしょう? |
● ここ数年のコスト上昇による修繕費の負担増で「資金捻出に苦労する世帯は少なくない」 かといって「住まいの修繕の先送り」をしていると その価値が劣化し 売りたい時に 買い手がつかず 例えば 老後に家を売って住み替えたり 高齢者向け施設に入ったりするというライフプランが狂いかねない → 「負動産」に ● 「老朽化による雨漏りの修繕などの支援も受けられる」①「リバース60」 ②「高齢者向け返済特例制度」があるが 両方とも 自宅を担保にリフォーム資金を借り、死後に物件を売却するなどして元本を返済する「リバースモーゲージ」の一種 自宅は相続人が元本を一括返済しないと引き継げないため 家族などと話し合うことが必要 → 自宅を相続できないリスクも |
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Q:空き家があります ほおっておくと固定資産税が6倍になると聞きました 本当でしょうか?どうしたらよいか? |
Q:「地球温暖化」の影響もあり大規模自然災害は、増加傾向にありますが 相続する家は 立地は どうか? 災害には強いか? |
Q:「一括贈与非課税制度」(教育資金、結婚・子育て資金、住宅取得資金等の贈与の特例)や「暦年贈与」「相続時精算課税」等 ” 生前贈与の特例等 ” を利用できる「相続税対策」としては、どのようなものがありますか? |
Q: 後期高齢者になりました 元気なうちに(意思表示ができるうちに)今後のことを考え「任意後見」や「民事(家族)信託」を考えています それぞれの特徴や注意点 また、これ以外にも手法があれば合わせて教えてほしい |
Q: 高齢の親が認知症になったら相続はどうなるか心配だ どうすればよいか? |
Q: 障害を持つ子供の生活支援を行っていますが、親の私が病気や認知症、死亡してしまった場合「誰が自分の子供を支援してくれるのか」と漠然とした不安や心配に襲われてしまう いまからできることはありますか?(親なきあと問題) |