109. 介護保険
| ・保険料 |
| Q: 知り合いの夫婦の話ですが、ご主人は 65歳以降も会社員として働いています(老齢年金の受け取りは 繰り下げていて まだもらっていないそうです) 65歳からは 介護保険料を納付書で納めることになり その負担額が65歳以前よりも 4倍ほどの増加になったと こんなことがうちにも起こりますか? |

〇 公的介護保険の対象者と保険料の仕組み
| 第1号被保険者 | 第2号被保険者 | |
|---|---|---|
| 対象者 |
65歳以上 | 40~65歳未満の健康保険加入者 |
| 受給要件 | 要介護状態(寝たきりなどで常時介護が必要) 要支援状態(日常生活に支援が必要) |
医師が回復の見込みがないと判断した がん 脳血管疾患など特定の疾病(16種の特定疾病 下表参照)により 要介護や要支援の状態 |
| 自己負担 | 1~3割(所得金額により異なる) | 1割 |
| 保険料の徴収 | ・原則として 年金からの天引き(特別徴収) ・市区町村に納付 ・65歳になった月から |
・健康保険料と一括で徴収 ・健保は給料天引きで 原則1/2負担 ・ 40歳になった月から |
| 計算方法 | ・市区町村で基準額を決め 本人の所得や世帯の課税状況に応じて調整 | ・国保は世帯の人数や所得等で決める ・健保は月給や賞与に保険料率を掛けて算出 |

A:「起こりえます」65歳からは第1号被保険者となり 介護保険料は住んでいる場所によって異なる
| ■ 市町村は 介護保険サービスの総費用を賄えるように保険料の基準額を算出する 市区町村は居住する要介護・要支援の人数等から それぞれの自治体で必要な介護保険サービスの総費用を見積もり その金額の23%(2023年度)を地域に住む65才以上の人数で割った金額を基準額とする(23%は介護保険の財源のうち65歳以上が負担する割合) ・さらに基準額をもとに 対象者の所得や世帯の課税状況に応じて 十数段階に細分し 各段階の介護保険料を決める 全員が基準額を納めれば 公費と40~64歳が納める保険料との合計で 必要となる介護費用の総額が賄える |
〇 65歳以上の年間介護保険料の例(東京都練馬区のケース)
| 段階 | 所得 | 保険料 (年間) |
|---|---|---|
| 第1~3 | (低所得者) | (略) |
| 第4 | 80万円以下 | 60.240円 |
| 第5 | 80万円超 | 79.200円 |
| 第6 | 125万円未満 | 84.840円 |
| 第7 | 125万円以上210万円未満 | 97.440円 |
| 第8 | 210万円以上320万円未満 | 117.240円 |
| 第9 ~ | 320万円以上 | (略) |
*介護保険料は 住んでいる市区町村によって異なる
■ 介護保険料 65歳以上で年間所得420万円以上を対象に引き上げへ(2024年4月~)
現在「320万円以上」に設定している最も所得の高い区分を細分化して 新たに「420万円以上」「520万円以上」「620万円以上」「720万円以上」の4段階を設け(標準9段階が13段階に)年間所得が420万円以上の所得の高い高齢者について これまでよりも高い介護保険料を負担してもらうことに
また 所得が低い高齢者については介護保険料の負担額を減らすことに
・65歳になると 全ての人は(会社員も 自営業者も 無職の人も 配偶者も)公的介護保険の「第1号被保険者」となる
| 65歳からの介護保険料は 原則年金から差し引かれる(特別徴収) ● 年金が 年額18万円以上ある場合は「年金からの天引きが法律で定められている」→ 納め方は選択出来ない ● 実際は 65歳になって年金天引きが始まるのは 半年から1年後(それまでは納付書などで納める) ● 健康保険から切り離されることで 事業主の1/2負担もなくなり 全額自己負担に ● 65歳になっても 会社勤めを続け 65歳未満の配偶者がいる場合は その配偶者の保険料はかからない(配偶者が 65歳になると「第1号被保険者」となり 保険料が発生する) ● 老齢年金の受け取りを 繰り下げている場合は 納付書や口座振替で納めることに |


| 介護サービス | 介護タイプ別の費用 |
|---|---|
| 在宅介護 | 要介護度別上限額の範囲で利用したサービスの「単価 X 回数」に応じた金額を月ごとに事業者に支払う |
| 施設介護 | 公的介護保険の施設種類別の自己負担額に加え 月額費用(家賃相当額 管理費 基本サービス費 食費など)を施設に支払う 入居時に一時金が必要な施設もある |
| 地域密着型介護 | サービスの種類によって利用回数・利用日数に応じた料金 あるいは月額(定額)を事業者に支払う |
・上図出典:ダイヤモンド・オンライン
| ・3年ごとに見直される「介護保険制度」、2年ごとに見直される「公的医療保険」 |
・2024年はその2つが同時に行われるダブル改定となる
・今後、介護保険の自己負担額が支払い能力によって細かく設定されていくことが予想される
ちなみに2021年「介護保険制度」改定は・・(以下参照)
| ●2021年「介護保険制度」改定 |
|---|
| ・自己負担限度額 |
| ・世帯収入によって変わる自己負担限度額 介護保険が適用される介護サービスを利用する際は 規定の費用を自己負担する必要があるが 自己負担額には上限がある 上限を超えて支払った場合は超過分の払い戻しができるこれが「高額介護サービス費制度」(「高額介護合算療養費制度」も同様) 自己負担の上限額を定める基準となっているのが、世帯の所得額 |
・高額介護サービス費の負担限度額
年収770万円以上(新たな所得区分の新設)
新設により(該当者は)高額介護サービス費(負担の上限額)が倍額以上に
| 区 分 | 負担の上限額(月額) |
|---|---|
| ・課税所得690万円(年収約1160万円)以上(新設) | 140.100円 (世帯) |
| ・課税所得380万円(年収約770万円)以上~課税所得690万円(年収約1160万円)未満(新設) | 93.000円 (世帯) |
| ・現役並み所得者に相当する人がいる世帯 ・ 課税所得145万円以上かつ世帯内の収入が単身380万円未満(年収約770万円)2人以上 520万円未満 |
44.400円 (世帯) |
| ・世帯内の誰かが住民税課税者 | 44.400円 (世帯) |
| ・世帯全員が住民税非課税 ・下記以外 |
24.600円 (世帯) |
| ・世帯全員が住民税非課税 ・老齢福祉年金を受給している人 ・前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下等 |
24.600円 (世帯) 15.000円 (個人) |
| ・世帯全員が住民税非課税 ・生活保護受給世帯等 |
15.000円 (世帯) |
・65歳以上の人が対象 世帯で最も課税所得の高い人の区分を適用
・上図 負担限度額を超えた分が介護保険から支給される(高額介護サービス費)
・対象となるサービスは 特別養護老人ホーム等への入所に伴う施設サービスや居宅サービス等で 住宅改修費、簡易トイレといった特定福祉用具の購入費は介護保険が適用されていても対象外
・「特定入所者介護サービス費(補足給付)」の見直し(65歳以上)
従来型個室の( )は 介護老人保健施設 介護療養型医療施設 介護医療院の場合
| 居住費 / 負担限度額(日額) | 第1段階 | 第2段階 | 第3段階 |
|---|---|---|---|
| 多床室 | 0円 | 370円 | 370円 |
| 従来型個室 | 320円(490円) | 420円(490円) | 820円(1310円) |
| ユニット型準個室 | 490円 | 490円 | 1310円 |
| ユニット型個室 | 820円 | 820円 | 1310円 |
| 対象者の区分 | 収入・預貯金( )など | 食費/日 |
|---|---|---|
| 第一段階 | 生活保護受給者または世帯全員が住民税非課税で本人が老齢福祉年金受給の人 | 300円 |
| 第二段階 | 世帯全員(一人世帯含む)が住民税非課税で 本人の合計所得と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が80万円以下(単身:650万円以下夫婦:1650万円以下 | 390円 |
| 第三段階 ① | 世帯全員(一人世帯含む)が住民税非課税で 本人の合計所得と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が80万円超~120万円以下の人(単身:550万円以下夫婦:1550万円以下) | 650円 |
| 第三段階 ② | 世帯全員(一人世帯含む)が住民税非課税で 本人の合計所得と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が120万円超の人(単身:500万円以下夫婦:1500万円以下) | 1380円 |
| 住民税課税世帯(軽減なし) | ・配偶者が住民税課税者である場合または預貯金等が一定額(単身の場合1000万円 夫婦の場合2000万円)を超える場合は 食費・居住費の軽減はない ・居住費は 多床室 840円(370円)従来型個室 1150円(1640円)ユニット型準個室 1640円 ユニット型個室 1970円( )は介護老人保健施設 介護療養型医療施設 介護医療院の場合 |
1380円 |
| 食費/日 | 第二段階 | 第三段階 ① | 第三段階 ② |
|---|---|---|---|
| 施設入居者 |
390円 | 650円 | 1380円 |
| ショートステイ | 600円 | 1000円 | 1300円 |
・介護保険施設の入所者やショートステイ利用者の食費(1日3食)・居住費(家賃に当たる)は介護保険の対象外(全額自己負担)
しかし 一定の所得以下の人は「特定入所者介護サービス費(補足給付)」という形で減額されている
・「高額介護合算療養費制度」の自己負担上限額
| 年収(課税所得)(*1) | 70歳未満 | 70歳以上 |
|---|---|---|
| ・課税所得690万円(年収約1160万円)以上 | 212万円 | 212万円 |
| ・課税所得380万円(年収約770万円)以上~課税所得690万円(年収約1160万円)未満 | 141万円 | 141万円 |
| ・課税所得145万円(年収約370万円)~課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 67万円 | 67万円 |
| ・課税所得(年収約156万円)~課税所得145万円(年収約370万円) | 60万円 | 56万円 |
| ・住民税非課税(年金収入80万円以下などの場合) | 34万円 | 31万円/19万円 (*2) |
(*1)世帯で最も課税所得の高い人の区分を適用
(*2)世帯に介護サービス利用者が複数いると31万円
(注) 「高額介護サービス費」払い戻されるのは介護保険の給付の範囲内でサービスを利用した場合
・介護保険施設の食費や居住費などは原則 対象外
・介護保険の対象でも 要介護度に応じて決まる支給額の上限を超えて利用した分は全額自己負担
| ・窓口負担 |
| ■ 介護サービス利用料の2割負担の対象を拡大の方向(厚生労働省) 2つの激変緩和措置を組み合わせる方針 ① 毎月の負担増の限度額を7000円に抑える ② 預貯金額が少ない人は1割負担で据え置く |
・65歳以上の人が世帯に1人の場合
| 自己負担割合 | (介護サービスの自己負担割合の)条件 |
|---|---|
| 1割負担 | 本人の合計所得金額が160万円未満 もしくは本人の年金収入とその他の合計所得が280万円未満 |
| 2割負担 | 本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満で年金収入とその他の合計所得が280万以上 もしくは本人の合計所得金額が220万円以上で年金収入とその他の合計所得が340万円未満 |
| 3割負担 | 本人の年金収入とその他の合計所得が340万円以上 |
・65歳以上の人が世帯に2人の場合
| 自己負担割合 | (介護サービスの自己負担割合の)条件 |
|---|---|
| 1割負担 | 本人の合計所得金額が160万円未満 もしくは本人の合計所得金額が220万円未満で本人と同一世帯の65歳以上の方の年金収入とその他の合計所得が346万円未満 |
| 2割負担 | 本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満で本人と同一世帯の65歳以上の方の年金収入とその他の合計所得が346万円以上 もしくは本人の合計所得金額が220万円以上で本人と同一世帯の65歳以上の方の年金収入とその他の合計所得が463万円 |
| 3割負担 | 本人の合計所得金額が220万円以上で本人と同一世帯の65歳以上の方の年金収入とその他の合計所得が463万円以上 |
(「特定入所者介護サービス費(補足給付)」)
介護保険が適用される施設に入所した場合 所得や資産等が一定以下の人に適用される制度 主に 負担限度額を超える居住費・食費が発生した場合 超過分の費用が介護保険からまかなわれる
負担限度額は施設や部屋のタイプ、所得に応じた段階によっても異なる
・公的医療保険に関わる「窓口負担」「保険料」「限度額」については
→ ブログ「106. 保険を補完 3 」をご覧ください
| ・「介護とは 老齢や心身の障害などの原因により日常生活を営むことに支障がある人に対して 日常生活の動作 家事 健康管理 社会活動の援助などを行うこと」(介護ワーカー) |
・この 平均寿命と健康寿命の差「健康でない期間」は「介護される可能性が高い期間」と言えます
| ・公的介護サービスの主なサービス |
■「地域包括支援センター」の役割
「地域包括支援センター」(主任介護支援専門員(ケアマネージャー)や保健師 社会福祉士等の専門員が配置されている):高齢者の様々な困りごとや悩みに対応する地域の拠点(介護保険サービス利用での関与が多い)
具体的には
・介護保険や介護サービスの説明
・介護認定のための書類作成の支援や手続きの代行など
・要支援の場合に 介護計画(ケアプラン)を作成(要介護の場合は「居宅介護支援事業所」が行う)
・その他にも 虐待を受けている高齢者への対応 介護予防 認知症予防のサービス 成年後見制度の利用支援 地域のケアマネージャーの支援や指導
| 対応する内容 | 連絡先 | |
|---|---|---|
| 社会福祉士 | ・介護や生活支援 ・消費者被害 ・困難事例 ・多問題家族 ・虐待問題 ・成年後見制度の利用援助 |
行政 専門機関 |
| 保健師 | ・健康 ・医療 ・介護予防 ・地域支援事業 ・虐待問題 |
保健所 病院 薬局 |
| ケアマネジャー | ・介護全般 ・ケアマネ支援 ・相談 ・困難事例 ・多問題家族 ・虐待問題 ・サービス事業者連携 ・事業者の品質向上 |
介護サービス事業者 |
* サービスが利用できない自立の判定や要支援・要介護の結果に異議がある場合は 不服申し立てを行うことができる
* 要介護認定には有効期間があり 新規の申請は原則6ヶ月 更新申請は原則12ヶ月 更新申請で変化なしの場合の有効期間は 最長4年に変更されている
| 名称 | 対象者の条件 | サービスの例 |
|---|---|---|
| 一般介護予防事業(*1) | 65歳以上(認定不要) | ・体操教室 ・認知症予防教室 ・サークル活動 |
| 介護予防・生活支援 予防給付サービス事業 | 要支援1~2(*2) | ・訪問型サービス ・通所型サービス ・福祉用具レンタル |
| 介護給付サービス事業 | 要介護1~5 | ・訪問介護/監護 ・通所介護/リハビリ ・ショートステイ |
■「一般介護予防事業」
・フレイル(虚弱 下記参照)状態になるのを防ぐことを重視
こちらもご覧ください → ブログ「070. フレイル」
・「地域の介護担当者と知り合ったり 介護に関する情報を入手したりする機会につながり 将来介護を必要とする状態になったときに役立つ」
■「介護予防・生活支援事業」
・要支援に非該当でも 生活機能が低下していると判断された場合も対象
■ 介護保険料を滞納するとサービス利用時に負担が増す
| 未納機関 | 負担増の例 |
|---|---|
| 1年以上 | ・サービス利用料をいったん全額支払う ・後日申請すれば自己負担分を除く額を払い戻し |
| 1年6ヶ月以上 | ・サービス利用料をいったん全額支払う ・滞納保険料を払うまで払い戻しを原則差し止め |
| 2年以上 | ・未納期間に応じて自己負担を3~4割に ・高額介護サービス費が支給停止 |
・上記出典:ダスキンヘルスレント
| 高齢者の多くはフレイル(虚弱)の時期を経て要介護状態になる ① 低栄養 口腔機能低下 ロコモティブシンドローム(運動器障害)などの「身体的フレイル」 ② 閉じこもり 孤立 孤食などの「社会的フレイル」 ③ 意欲低下 うつ 軽度認知障害(MCI)などの「心理的フレイル」 3つのフレイル(虚弱)が多面的に関わりあっている 早めに適切な対応をとれば 現状維持ができたり 健康に戻れる可能性もある |

*ロコモティブシンドローム(運動器障害)とは: 骨粗鬆症・変形性関節症・脊柱管狭窄症・サルコペニア(筋肉量低下)など

・できるだけ「適度な運動」「バランスのいい食生活」「充分な睡眠」を確保するようにしましょう

(ご自愛ください)
2025年12月14日