年金


 


上図より 職業など 保険料負担 受け取れる公的年金
第1号被保険者 自営業者 学生 無職など 国民年金のみ 国民年金(基礎年金)
第2号被保険者 会社員・公務員など 厚生年金(基礎年金分含む) 基礎年金と厚生年金
第3号被保険者 第2号被保険者に扶養される配偶者 自己負担なし(厚生年金制度が負担) 基礎年金



・この数年「年金制度の改革」が行われている「受給資格期間を25年から10年に短縮」「産前産後休業期間中の厚生年金および基礎年金保険料の免除」「厚生年金と共済年金の一元化」「個人型確定拠出年金iDeCoの加入対象者の拡充」「厚生年金加入対象者の拡充」「年金繰り下げ受給制度の拡充」など さらに今後(下記)
* 「退職等年金給付(年金払い退職給付)」:被用者年金制度の一元化(厚生年金と共済年金の一元化)により 改正前の共済年金における3階部分(職域部分)が廃止されたことに伴い創設
 詳しくは → 「年金払い退職給付」(地方公務員共済組合連合会)をご覧ください

  ・高年齢者雇用を後押しする制度改正が続く「70歳まで就労機会」の措置
2020年10月 ●事業主がiDeCoに掛け金を上積みできる「イデコプラス」の対象企業を100人以下から300人以下に拡大
2021年4月 〇「高年齢者雇用安定法の改正」現在:企業に対し65歳までの雇用を確保するため「定年制の廃止」「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置をとるように義務付け法改正により:義務付けの年齢を70歳まで伸ばすことが努力義務に
2022年1月 〇雇用保険の加入条件 複数の会社で働く場合 65歳以上は複数の会社合計で週20時間以上に(雇用保険の新規加入 → 65歳以上も可能に(2017年1月改定 保険料徴収は20年4月から))
2022年4月 〇繰り下げ受給の上限を70歳から75歳に延長(増額率は1ヶ月ごとに0.7%を維持 75歳まで繰り下げた場合84%増額に)、繰り上げ需給は最大60歳までは変わらず(減額率を1ヶ月ごとに0.5%から0.4%に)
〇65歳未満の在職老齢年金の減額基準を28万円から47万円に緩和
〇65歳以降も老齢厚生年金に加入継続するなら在職中でも毎年年金が増える「在職定時改正」導入 現在:65歳以降に就労して厚生年金保険料を納めても、退職するか70歳になって初めて年金額に反映 法改正により:1年間保険料を納めた実績に基づいて毎年10月に年金額が再計算される(毎年少しずつでも年金額が増える)→生涯受け取る年金の累計額も増える
●受給開始時期の上限をiDeCo・企業型DCともに75歳に引き上げ
2022年5月 ●iDeCoの加入上限を65歳未満に 企業型DCは70歳未満に拡大
2022年10月 〇101人以上の会社で週20時間以上30時間未満の短時間労働者も厚生年金の加入対象に(増加する短時間被保険者の半分以上が60歳以上の見込み)
●企業型DCの導入企業 労使の合意がなくても 原則iDeCoに加入できるように
●企業型DCの導入企業で従業員が自分で上積みする「マッチング拠出」導入企業の場合、従業員がiDeCoと選択可能に
2023年以降 ●確定拠出年金DCに加入している人の 掛け金の算出方法の改正(上限額が増えるケースも
2024年10月 〇51人以上の会社で週20時間以上30時間未満の短時間労働者も厚生年金の加入対象に
2024年12月 ●DB(確定給付企業年金)導入会社の多くでiDeCoや企業型DCの掛け金上限が拡大


・60代以降の「就労」「年金受給」の選択肢が拡大「私的年金」との併用で老後資金の充実を図る事が重要 改正の全てが長寿時代の老後を強力に支える内容 使いこなすかどうかで大きな差となる

・公的年金の本質は「長生きリスクに備える」 最大の利点は「終身でもらえること」今後 年金の水準は財政健全化の影響で少しずつ目減りしていく可能性が高い
 → 「高齢期の就労や繰り下げの検討で ベースとなる年金額を増やしておく」事が大切

「厚生年金に加入して働く」ことのメリット
① 老齢厚生年金の受給額が増える(厚生年金の加入年数に上限はない 加入期間は70歳まで)国民年金の加入期間が60歳までに40年間(480ヶ月)に達していない場合は厚生年金保険料を納めることで 老齢厚生年金(比例報酬部分)が増えると同時に 一定の条件で「経過的加算」が上乗せされる(「国民年金の任意加入」と同じ効果となる 40年間(480ヶ月)に達したら 又は 65歳に達したら「経過的加算」は終わり 増えるのは老齢厚生年金だけ)
 65歳になる前にリタイアした際(厚生年金加入が480ヶ月に達していても)国民年金の加入期間が480ヶ月未満だったら国民年金に任意加入して老齢基礎年金を増やすことができる(65歳まで)

② 配偶者の遺族厚生年金の受給額が増える(長期要件として厚生年金(及び 国民年金のみの加入期間がある場合はその期間を足して25年)の受給資格期間が25年以上ある者が死亡した時)

③ 配偶者の厚生年金保険料の負担がゼロ(働く本人が65歳になるまで、または配偶者が60歳になるまで)(厚生年金の加入期間は70歳までだが 本人が65歳に達するとその扶養者(妻 60歳未満の場合)は自分で国民年金に加入しなければならない)

④ 傷病手当金が受給できる(厚生年金に加入すると健康保険にもセットで加入)働けない状況で給料が支払われない場合 4日目から1年6ヶ月間給料(標準報酬月額)の約2/3の手当が出る 現在は 途中で出勤して不支給の不支給の期間があっても 開始日から暦の上で1年6ヶ月たてば支給が終わる 22年1月からは途中の不支給期間は除き 支給期間を通算して1年6ヶ月支給されるようになる

⑤ 配偶者などの被扶養者は(被扶養者の条件は60歳以上なら年収180万円(60歳未満は130万円)未満で 被保険者の収入の1/2未満)保険料の負担ゼロで医療サービスを受けられる(加入年齢の上限は「75歳になるまで」70歳で厚生年金の資格を喪失しても 健保保険料を払い続け働けば75歳まで健保の被保険者でいられる)配偶者も保険料負担がゼロ

⑥ 家族の介護で介護休業を取得した時 介護休業給付金が受給できる(雇用保険により)

⑦ 教育訓練給付金が受給できる(雇用保険により)

⑧ 高年齢求職者給付金が受給できる(雇用保険により 65歳以上の高年齢被保険者が退職した時)

⑨ 厚生年金・健康保険共 保険料の負担割合は 会社と従業員で半分ずつ

⑩「出産手当金」(健康保険に加入する会社員 給料の約3分の2)、「育児休業給付金」(雇用保険に1年以上加入する会社員 給料の約3分の2)

⑪「産前産後の保険料免除制度」「育児期間中の保険料の免除制度」

⑫「介護休業制度」(介護休業中に保険料を免除する制度は設けられていない)


*よくある相談・相談履歴

Q:20歳になります 国民年金の加入手続き、学生納付特例について教えてください(国民年金保険料の免除制度全般についても)また、国民年金に加入するとお得なことを具体的に教えてほしい
 20歳になると(成人年齢が18歳になったが変わらず)国内に住む全ての人は国民年金に入り 保険料を納めなければならない 納付が難しい場合は保険料の免除や猶予の手続きをすれば 不利益を避けられる


学生納付特例制度」(ガクトク 10年以内なら後から納められる「追納制度」):大学や大学院 短大 専門学校などに通い 本人の前年の所得が128万円以下などの基準を満たす必要がある
 追納の10年が過ぎると 保険料を後から払って老齢基礎年金を増やすには 60歳まで待たなければならない(国民年金の任意加入制度)なお 「追納」も「任意加入制度」も65歳まで(受給の繰り下げをしていても同じ なお 繰り上げ受給などをして老齢基礎年金を受給すると「追納」も「任意加入」もできなくなる)

・こちらも参考に
  「国民年金保険料の学生納付特例制度」 「学生のみなさまへ」(日本年金機構)

法定免除(全額免除) 以下①~③に該当する人は「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を提出することにより国民年金保険料が免除される
 ①生活保護の生活扶助を受けている(生活保護を受け始めた日の含む月の前月の保険料から免除)
 ②障害基礎年金ならびに被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている(認定された日を含む月の前月の保険料から免除)
 ③国立ハンセン病療養所などで療養している(療養が始まった日を属する月の前月の保険料から免除)

■ 申請免除(多段階免除) 以下に当てはまる場合 申請免除の対象になる 多段階制度
 本人及び配偶者の前年所得が一定額以下
 ② 障碍者・寡婦で前年所得が一定以下
 ③ 生活保護法の生活扶助以外の扶助を受けている
 ④ 風水害や失業などの特別な理由がある

■ 保険料納付猶予制度
 50才未満で本人および配偶者の所得が一定以下の場合 申請により保険料の納付が免除される(~令和7年6月まで)

□ 免除や猶予で年金額はどうなる?

免除割合等 資格期間算入 年金額反映(1) 年金額反映(2) 後納
全額 1/3 4/8 10年以内
3/4 1/2 5/8
半額 2/3 6/8
1/4 5/6 7/8
猶予
学特
× ×
未納 × × × 2年を過ぎると不可

・年金額反映 (1):平成21年3月以前の免除期間 (2):平成21年4月以降の免責期間
・一部免除(一部納付)の期間については 一部納付の保険料を納付していることが必要
・障害基礎年金や遺族基礎年金は 未納期間があると受給できない場合がある

□ 対象となる年収の目安



  22年度 23年度
国民年金保険料(1ヶ月) 16590円 16520円
支給額(1ヶ月 満額の場合) 64816円 66250円


・国民年金は 主に3つのリスクに対応する

年金 どんな時? 給付の条件等
老齢基礎年金 年を取ったとき 保険料を納めた期間が10年以上など
障害基礎年金 病気やケガで障害が残ったとき 保険料を納めなければならない期間の2/3以上納付など
遺族基礎年金 一家の大黒柱が亡くなったとき 保険料を納めなければならない期間の2/3以上納付など(亡くなった人)


■ 国民年金の付加保険料
・不可年金は納付期間に応じて支給
 保険料(月400円)X 納付期間(月)X 1/2 = 年間の支給額(65歳から終身)
 2年超の受給で保険料を上回る

Q:「年金定期便」のチェックポイントは何ですか?また、そこからわかることは? また「ねんきんネット」「ねんきんシミュレーター」についても教えてください



*ねんきん定期便に載っていないこと
今後の働き方による老齢年金額の変化 給与が減れば年金額も減少
・配偶者の年金 配偶者あての定期便で確認できる
・加給年金(年約39万円) 65歳未満の年下の配偶者がいる場合 65歳まで支給(条件あり)
・振替加算(年約1.5~22万円) 加給年金に続き 65歳になった配偶者に生涯支給(1966年4月2日以降生まれはゼロ)(条件あり)
・遺族年金・遺族厚生年金 配偶者が亡くなった場合に支給(条件あり)
・国民年金基金 窓口で確認
・企業年金など 確定拠出型や確定給付型など 各窓口で確認


〇 国民年金と厚生年金の違い

  国民年金 厚生年金
加入対象 20~59歳の全国民 主に会社員や公務員
保険料 一律(月額16.520円 23年度) 標準報酬月額の18.3%(労使折半)
年金給付額 加入期間に応じて一律(満額なら66.250円 23年度) 加入期間と払った保険料で変わる(基礎年金を含め平均月約14.6万円)
年金を受け取るために加入が必要な期間 10年 1ヶ月

*保険料 国民年金は自営業者など第1号被保険者の場合 会社員や公務員は厚生年金保険料に国民年金分が含まれる
*国民全員が受給するする国民年金は保険料を支払った期間が同じなら受給額も同じ そのため厚生年金と国民年金の合計の受給額を見ると 現役時の収入の差ほど受給する年金額に差はつかない

■ ねんきんネット(日本年金機構が運営するポータルサイト)
・ログインすれば 「ねんきん定期便」で送られてくる情報をいつでもPCやスマホで見ることができる マイナンバーカードがあれば マイナポータルから入ることで ねんきんネットのユーザID・パスワードがなくても利用可能
・今後の働き方を入力することで これまでの保険料納付状況 + 今後の想定 という形で より詳細に将来の年金額を試算することができる

■ 公的年金シミュレーター(厚生労働省 2022年4月公開)
・働き方・暮らし方の変化に応じて、将来受給可能な年金額を簡単に試算できるツール
詳しくは「公的年金シミュレーター使い方ホームページ」(厚生労働省)をご覧ください

Q :年金受給額の「平均値」「中央値」は どのくらいですか?

 厚生労働省の「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると 会社員など老齢厚生年金に加入している人の平均支給額 および 老齢基礎年金の平均支給額は以下の通り
・老齢厚生年金の支給額:月額14万6.162円(この金額には 老齢基礎年金を含む)
・老齢基礎年金の支給額:月額5万6.049円(対象は会社員など老齢厚生年金加入者を含む)

*上記の金額は 保険料を25年以上納付した人を対象とした平均額

平均値:データ全体を平らにしてみるには便利だが その一方でデータ群に異常値が含まれている場合には それに引っ張られて大きく増減してしまう

中央値:異常値の影響を受けにくいため 例えば多くの人がどれくらいの年金をもらっているのかを知りたいような場合には 平均値ではなく中央値を用いたほうが実態に近いイメージをもつことができる


〇 国民年金の毎月の平均受給額

 国民年金の受給額は 男女とも 月額6万円台を受給している層が全体で一番多い(下図)その水準が中央値であると考えてよい(厳密な中央値は公表されていない)
 一方 平均値は 男女ともに 5万円台となっている 2つを比較すると 少額しかもらっていない人がかなり多いという事になる


〇 厚生年金の毎月の平均受給額

 男性の場合には 17~19万円が 女性の場合には 9~10万円がボリュームゾーンとなっている(下図)男性よりも女性のほうが総じて受給額が少なく その水準には大きな差がある また 男女とも 受給額格差が大きいことが見て取れる


Q年金額を増やす方法を教えてください

(注)65才の時点で 受給資格期間が10年に到達していない人は 70才まで国民年金に任意加入ができる
(注)65歳を過ぎたり 60代前半に繰り上げ受給をしたりして年金を受け取り始めた人は追納はできない
(注)繰り下げ受給の上限を70歳から75歳に延長(75歳まで繰り下げた場合84%増額に 2022年4月~)
(注)2021年の誕生日前後に届く年金定期便から 「一般厚生年金期間の報酬比例部分には、厚生年金基金の代行部分を含んでいます。」となり 改定されました


■老齢厚生年金の受給額を増やす(厚生年金の加入年数に上限はない 加入期間は70歳まで)国民年金の加入期間が60歳までに40年間(480ヶ月)に達していない場合は厚生年金保険料を納めることで 老齢厚生年金(比例報酬部分)が増えると同時に 一定の条件で「経過的加算」が上乗せされる(「国民年金の任意加入」と同じ効果となる 40年間(480ヶ月)に達したら 又は 65歳に達したら「経過的加算」は終わり 増えるのは老齢厚生年金だけ)
 65歳になる前にリタイアした際に(厚生年金加入が480ヶ月に達していても)国民年金の加入期間が480ヶ月未満だったら国民年金に任意加入して老齢基礎年金を増やすことができる(65歳まで)

Q:「(60歳以降も)厚生年金に加入して働く」ことのメリットを教えてください

→  Q&A「ライフプラン」のページにて

Q: 現在 非正規労働者(短時間労働者)です この数年の「年金制度の改革」の一環として「短時間労働者(非正規労働者)への被用者保険(厚生年金保険)の適用拡大」がありますが内容を教えてください
 また、日本の「非正規労働者(短時間労働者)」の現状を教えてください

→ Q&A「ライフプラン」のページにて

Q:「年金繰り上げ・繰り下げ」のメリット・デメリットを教えてほしい また、「年金の繰り下げは手取りで判断」と言われますが どういうことですか?

「年金繰り上げ」のメリット 「年金繰り上げ」のデメリット
・60歳以降ならば手続きするだけで収入に
・60歳まで繰り上げができる(30%減額)
・年金減額率0.4%に引き下げ(22年~)
・60歳繰り上げ 減額30%→24%に緩和
・早死にした場合 損しない
・年金をあえて減らし税金・保険料対策が可
・住民税の非課税メリットの享受も可能 
・1ヶ月あたり0.5%の年金減額率(現在)
・一度繰り上げると一生減額の年金となる
・基礎・厚生一方だけの繰り上げはできない
・長生きした場合 老後資金枯渇リスク
・事後重症による傷害年金を受け取れない
・寡婦年金を受け取る権利がなくなる
・65歳まで遺族年金と一緒にもらえない
・44年長期特例・障害者特例の非該当に
・在職老齢年金制度により不利となる場合も
・繰り上げ以降は任意加入や追納ができない
「年金繰り下げ」のメリット 「年金繰り下げ」のデメリット
・年金増加率 1ヶ月あたり0.7%
・75歳まで繰り下げ受給が可に(84%増に)
・増加した年金は一生涯続く
・基礎・厚生年金それぞれの繰り下げが可
・長生きリスクに備えられる(余裕ができる)
・公的年金等控除額の最低は120万円
・専業主婦期間の長い妻にとって安心材料に
・長生き女性は損益分岐年齢越えの可能性高い
・「繰り下げ」ではなく「一括受給」も可能
・加給年金が支払い停止に
・75歳に近づくと受給総額減り始める事も
・65歳以降の余命は誰もわからない
・基金年金・企業年金も併せて繰り下げに
・「加給年金」や「振替加算」は増額されない
・基礎年金を受給しないと振替加算受給不可
・減額された在職老齢年金のみが増額に
・税金・保険料等の負担が重くなる場合も
・遺族厚生年金は増額せず(65歳年金で計算)


● 特別支給の老齢厚生年金についても繰り上げ受給することができ 老齢基礎年金と同時に繰り上げることとなる また 特別支給の老齢厚生年金をすでに受給中の人が 老齢基礎年金を繰り上げて受給することもできる(特別支給の老齢厚生年金は繰り下げはできない)

● 厚生年金を繰り上げると 厚生年金基金(企業年金)も繰り上げなければならない(その場合 厚生年金基金の減額率も 1ヶ月あたり0.5%に(現在))同様に 繰り下げる場合は 厚生年金基金(企業年金)も繰り下げなければならない(その場合 厚生年金基金の増加率も 1ヶ月あたり0.7%に)
 繰り下げの場合 厚生年金については 手続きをしなければ 繰り下げ扱いとなるが 厚生年金基金(企業年金)は (制度としては 同じく繰り下げとなるのだが)書類を取り寄せ 申請しなければならない(申請をしないと 引き続いて振り込まれ 後から返金請求されるなど厄介になる)
 なお 国民年金基金は 繰り上げも繰り下げもできない(65歳の誕生日以降に 書類が送られてくるので 受給手続きをする必要がある ただし 手続きをしないからと言って 時効で権利がなくなるということはない)

● 65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの間に障害年金や遺族年金を受け取る権利が発生すると 繰り下げ請求ができない(繰り下げて増額した年金を受給できるのは66歳以降で 繰り下げ待機の期間は1年以上必要なため) ただし 例外として 障害基礎年金のみ受給できるときは 老齢厚生年金に限り繰り下げができる

● 66歳以降の繰り下げ待機期間中に遺族年金 障害年金の受給権者となった場合は その時点で繰り下げ請求したものとして老齢年金の金額が計算される → 増額方式か一括受給方式を選択(*)
(*)「待機期間に応じて増額された年金をそれ以降受け取る」か「増額なしの65歳以降の年金額を一括受給し その後も増額なしの年金額を受け取る」かの選択

● 老齢基礎年金を繰り下げる場合 繰り下げ期間中は 低年金者に支給される年金生活者支援給付金は支給されない
● 年金減額率が0.4%に引き下げになるのは 施行日以降に60歳になる人(1962年4月2日以降生まれの人)
● 75歳まで繰り下げ受給が可能になるのは 施行日以降に 70歳になる人(1952年4月2日以降生まれの人)それまで繰り下げていた人が施行日の前日までに70歳になっていたら 施行日以降の再延長はできない

● 配偶者の死亡による自分の繰り下げへの影響

配偶者の死亡時期 繰り下げ 受給額・受給方法
65歳未満で繰り下げ待機前 できず(*) 増額なしを受給
65~66未満で繰り下げ待機中 中止 増額なしを受給
66歳以上で繰り下げ待機中 中止 増額方式か一括受給方式を選択

(*)遺族厚生年金 配偶者の死亡時に妻なら何歳でも無条件に受給権が発生(30歳未満で夫が亡くなった場合は5年間で受給権消滅)夫は 妻の死亡時に55歳以降であであることが必要 しかも 年金を受給できるのは 60歳に到達してから(配偶者の死亡時に自分の年収が850万円未満であることも条件)
→ つまり夫の場合 自分が55歳以上で65歳未満の間に厚生年金加入期間のある妻が亡くなると「(遺族厚生年金の受給権が発生するため)繰り下げはできない」 また 65歳になって繰り下げ待機をしていても66歳未満で妻がなくなれば「(遺族厚生年金の受給権が発生するため)待機は中止に」(待機中の数か月分の年金を一括受給したうえで その後も増額なしの年金を受給することに)
→ 「遺族厚生年金(または 障害年金)の受給権が発生すると」繰り下げは できない(または中止に):この場合 実際の遺族厚生年金受給額の多少に関わらず(以下の計算式の結果) たとえ 0(ゼロ)でも繰り下げはできないことに

● 自分が65歳以上で配偶者が死亡した時に受給できる厚生年金(金額)

① 配偶者の厚生年金(65歳時点の額)の3/4
② 配偶者(65歳時点の額)と自分の厚生年金の半分ずつの合計
③ 自分の厚生年金
①~③の最大額 内訳
・まず自分の厚生年金を受給
・差額が遺族厚生年金に

・配偶者が繰り下げ増額した年金を受給し始めた後に亡くなった場合
(上の表で)計算の基になる配偶者の厚生年金は(繰り下げ増額する前の)65歳時点の厚生年金
→ 例えば 10年繰り下げで84%増の厚生年金を受給していた配偶者をなくした場合 残された者が受給できる厚生年金(家計の収入)は 大幅に減額となる事もあり得る(さらに配偶者の基礎年金も無くなる)→ 自分の年金を繰り下げ増額しておくことが有効

上記の①~④ 年金は働き方などで金額が大きく変わる
① 自営業者や専業主婦、フリーランスなど基礎年金だけの人 基礎年金の満額は年約78万円だが未加入期間がある人も多く、19年度の平均では70万円弱
② 女性の厚生年金受給者 65歳時の年金額125万円は19年度の女性の厚生年金受給者の平均的な額(基礎年金含む)
③ 男性の厚生年金受給者 65歳時の年金額200万円は19年度の男性の厚生年金受給者の平均的な額(基礎年金含む)
④ 65歳時の年金額240万円(基礎年金含む)のケース



・上図出典:Yahoo!ニュース


*繰り上げ後の受給総額が65歳開始を下回る年齢(その後は 差が開いていく)

受給開始 下回る年齢
60歳 80歳10ヶ月
61歳 81歳10ヶ月
62歳 82歳10ヶ月
63歳 83歳11ヶ月
64歳 84歳11ヶ月



Q :年金の改定の際に適用されるという「マクロ経済スライド」とは 何ですか?


「年金制度を支える現役世代の人数や賃金の変化と 平均余命の伸びに伴う給付費の増加という 給付と負担の変動に応じて給付水準を自動的に調整する仕組み(つまり 現役世代の減少や長寿化の分 給付を抑制する)」

こちらをご覧ください
 「マクロ経済スライド」(日本年金機構)
 「年金 Q&A(マクロ経済スライド)」(日本年金機構

Q(2023年4月以降)年金の繰り下げ受給の際 受け取り方を「一括受給」とする場合 年金額が通常の「フル増額」と同様 増額となる改正があるとのことですが解説してください



「一括受給」の仕組み:現在(70まで繰り下げ受給できる現在)
・「一括受給」の請求をした場合、65歳時点の増額なしの金額を過去5年分「一括受給」できる しかし、5年を超える分は受給できない(年金の時効は最大5年のため 消滅してしまうため)
・「一括受給」の請求をした後は、65歳時点の増額なしの金額を受給していくことになる

「一括受給」の仕組み:2023年4月以降(繰り下げ受給が75歳までとなる以降)
・70歳の誕生日から80歳の誕生日の前々日までの請求に限る
・「一括受給」の請求をした場合、5年前に請求をしたとされ(年金の時効は最大5年のため)65歳からその時点までの年月に応じ増額された金額を過去5年分「一括受給」できる(5年を超える分は受給できない)
・「一括受給」の請求をした後は、増額された金額を受給していくことになる
・一括でもらえるのは5年分だが その前の時期の分についても繰り下げの増額分として今後毎月受け取る金額に反映するため、実質的に時効消滅はなくなる

注意

● 80歳の誕生日の前日以降は「一括受給の新方式」の適用はない 何歳で請求しても75歳でフル増額方式で請求したとみなされ、(65歳からの)10年分の増額率を反映した金額を5年分まとめて受給し(5年を超える分は受給できない)、その後は増額された同額を受給していくことになる
● 「一括受給の新方式」の適用は、70歳の誕生日から80歳の誕生日の前々日までの請求に限る
● 「一括受給の新方式」の適用は、70歳の誕生日前の請求には当てはまらない(現在と同じとなる)
● 「一括受給の新方式」の適用は、繰り下げの選択肢が75歳まで広がる対象である時点(22年4月時点)で70歳以下の人だけ(すでに繰り下げ状態にある人でも22年4月時点で70以下の人だけ)
● 対象の人でも新制度の恩恵を受けようと思えば23年4月以降まで請求を待つ必要がある
● 繰り下げ中に受給の請求をしないまま亡くなれば、遺族の請求で65歳時点での年金額が「未支給年金」としてもらえるが 時効が5年なので最大で5年分 「一括受給の新方式」の適用はない

Q:厚生年金基金の請求漏れが 100万人に上るということですが「年金請求漏れ」について教えてください


*「特別支給の老齢厚生年金」「未支給年金」には5年の時効があります また、年金は請求しないともらえません もったいないので必ず確認して請求しましょう

: 公的年金の長期見通しの試算「年金財政検証」(経済や人口動態の変化に応じて厚生年金・国民年金の支給水準(所得代替率)がどの程度下がっていくのかの試算)(厚生労働省公表 2019年8月27日)について数字のマジックがあるとの指摘がありますがどういうことですか?


下の図「所得代替率の計算方法を変えると・・・」をご参考に



Q: 共働きです 厚生年金保険の加入期間が20年以上あり年下の配偶者がいます(配偶者もすでに厚生年金保険の加入期間が20年以上)「加給年金」はいつから支給されますか?また「振替加算」についても教えてください

A :「加給年金」
 厚生年金保険の加入期間が20年以上ある人が、65歳到達時に、(65歳に到達した後に加入期間が20年以上となった場合は、”退職による年金額の改定時”に(令和4年4月以降「在職定時改定」(年金額の改定が毎年1回10月に定時に行われる 65歳以上の在職中)が導入されると 20年間を満たした後の10月に) その人に生計を維持されている配偶者または子(要件あり)がいれば支給される(届け出が必要)

 配偶者が加入期間20年以上の老齢厚生年金(65歳前の特別支給の老齢厚生年金を含む)の支給を受けるまで または、配偶者が65歳になるまで支給される(繰り上げ受給している場合でも 加給年金は 規定通り受給できる)
 配偶者が加入期間20年未満の時点で「加給年金」の支給が始まりその後(配偶者が老齢厚生年金の支給を受けながら)働き続け加入期間が20年以上となった場合も 配偶者の”退職による年金額の改定時”まで支給は続くが、65歳に到達した場合は年齢要件により打ち切られる

 本来打ち切られる時に届け出をしないで「加給年金」支給を受け続けると後に必ず返済を求められる なお「老齢厚生年金の受給繰り下げを行うと「加給年金」も支給されません」

・補足① 年金を繰り下げている待機期間中に病気などで大きな資金がすぐに必要になった場合 繰り下げていた間の年金を増額なしで一括受給し その年金は増額なしで受け取るという選択ができるが この場合は待機中の加給年金は消えずに一括受給できる

・補足② 年金の繰り下げによるによる増額のメリットと加給年金がもらえないデメリットのどちらが大きいかを考える事になるが この場合 基礎年金のみを繰り下げて増額させ 厚生年金はそのまま受給し 「加給年金」ももらうという「基礎のみ繰り下げ」を選択することもありだが この「基礎のみ繰り下げ」が常にベストとは限らない

補足③「長期(44年)加入者の特例」44年間(528ヶ月)の長きにわたり厚生年金保険に加入すると厚生年金の報酬比例部分と定額部分を受給できる(満額を受給できる)この時、(年齢に関わらず65歳前でも)生計を維持する65歳未満の配偶者がいれば、「加給年金」も同時に受給できる被保険者資格を喪失していること つまり、完全に退職するか、週労働時間が20時間未満の勤務でないとこの特例は受けられない)

・(法改正による)補足
 現在:65歳以降も働き続け70歳で退職した場合、厚生年金保険を支払っても、退職時(この場合70歳)でしか年金額の再計算が行われないので、70歳になるまでは65歳で計算された年金額を受け取り続ける
 令和4年4月以降:65歳以上は在職中であっても、「在職定時改定」(年金額の改定が毎年1回10月に定時に行われる)が導入される よって65歳時点で厚生年金に19年加入だった人がその後も働く場合 66歳時点で20年加入となるため 66歳から受給できる
A:「振替加算」
 「加給年金」は 配偶者が65歳に到達した場合は年齢要件により打ち切られる この際 配偶者に老齢基礎年金の受給資格がある場合に 受給要件を満たせば 配偶者に「振替加算」が老齢基礎年金に一生涯加算される(届け出が必要) *振替加算は1966年4月2日以降生まれの人は対象にならない) * 老齢基礎年金を繰り下げている場合は「振替加算」は受け取れない



Q:「特別支給の老齢厚生年金」とは何ですか?いつから支給されますか ? また、「障害者特例」とは?

A : 基礎年金の支給開始が60歳から65歳に引き上げられたときに、制度が変わったことによる影響をやわらげるために作られた年金制度
 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があり(そのうち厚生年金保険等に1年以上加入)の要件あり 60歳以上の人に支給開始年齢に到達する3ヵ月前に「年金請求書」が日本年金機構から送られて来る
 この書類を送り返さないと「特別支給の老齢厚生年金」はもらえません。知らずに「年金の支給開始は65歳のはずだから、いま提出すると繰上げ支給になってしまう」と勘違いして送り返さない人が毎年何万人もいる
 ちゃんと開封して内容を確認しましょう(5年の時効があり5年間放置しておくと権利は消滅)また、「特別支給の老齢厚生年金」は、繰り下げはできない 繰り上げ受給することはできるが 老齢基礎年金と同時に繰り上げることとなる

*「特別支給の老齢厚生年金」が何歳からもらえるかは、生年月日と性別によって異なる
*「障害者特例(特別支給の老齢厚生年金)」
 障害者特例は、60歳前半に報酬比例部分相当の特別支給の老齢厚生年金が受給できる場合、以下の要件を満たしたときは、さらに定額部分が受給できるもの

・厚生年金保険の被保険者でないこと
・障害等級1級から3級に該当する程度の障害の状態にあること


Q(60~64歳の)「在職老齢年金」が改正される(22年4月)ということですが、どのように変わるのか?
Q:「在職老齢年金」「高年齢雇用継続給付」「特別支給の老齢厚生年金」「年金の繰り下げ受給」「雇用保険」「加給年金」「高年齢雇用継続給付」」の複雑に見える相関関係 制度に対する誤解等をわかりやすく教えてください

A:(60~64歳の)「在職老齢年金」
・現在:老齢厚生年金(加給年金分を除く)と賃金の月額合計が28万円を超えると、賃金が増加した分の半分の年金が減額 賃金が47万円を超えると、賃金の増加分だけ年金は減額される
・22年4月~:
 年金減額支給の基準が28万円 → 47万円に(2023年度の基準額は48万円)
 月額合計が47万円を超えると、基準額を越えた額の1/2の年金が減額される
・老齢基礎年金は 賃金などに関係なく全額を受給できる
「特別支給の老齢厚生年金」は支給開始年齢の引き上げが進んでいる 在職老齢年金改正の対象者は 22年4月以降に特別支給の老齢厚生年金を受給する人に限られる
 基本的に 男性では1957年4月2日~61年4月1日生まれ 女性は 57年4月2日~66年4月1日生まれの人
A:(65歳以上の)「在職老齢年金」(改正見送り)月額合計が47万円を超えると、賃金の増加分の半分の年金が減額される

A:「複雑な相関関係」「制度」に対する誤解等
①「在職老齢年金制度」で「停止された年金」「減額された年金」は退職したら遡って受給できるんじゃないのと思いがちだが いったん減額された年金は戻りません 遡って受給することは出来ません

② 判定基準となる月収はあくまで給与に関して 不動産や株取引、厚生年金に関わらないアルバイト等(非正規・短時間労働等)の収入はどんなに多くても対象外
 その「厚生年金に関わる給与月収」が一定水準を超えると支給停止となるが、対象は厚生年金の報酬比例部分だけ「基礎年金」部分は停止されたり減額されたりはしません

③ どうせ年金額が減るのなら「繰り下げ受給」をして減額の影響を受けないようにしようと考えがちだが 支給停止があるとその部分は繰り下げ増額の対象から外れてしまい、増えるのは残りの支給部分だけ → 「繰り下げ受給」をしても制度により減額はされます 全額停止になると基礎年金部分を除き、繰り下げ効果は全くありません

④「特別支給の老齢厚生年金」も制度により停止されたり減額されたりします「特別支給の老齢厚生年金」はもともと繰り下げができない。→ 繰り下げ効果(増額)はありません

⑤ 「高年齢雇用継続給付」(65歳になるまで 現在は60歳到達時の75%未満に下がると、その賃金の最大で15%に相当する額が支給される)この給付金も制度により停止されたり減額される→ 65歳未満の人は「在職老齢年金」とダブルで減額されることになる

⑥ 「失業給付(基本手当)」と厚生年金は同時に受け取れない(雇用保険の併給調整)(現時点では65歳未満で(特別支給の老齢厚生)年金の受給資格を得る人が対象)

⑦ 一定の配偶者や子がいる場合に加算される「加給年金」報酬比例部分が全額カットされることになった月は、加算されず、報酬比例部分が1円でも支給される月については、全額加算される







Q:厚生年金をもらいながら働く65歳以上の高齢者の年金額を増やす仕組み「在職定時改定」とは何ですか?


・「いついくら増えるのか?」
→ 9月1日時点の在職者について前の年の9月からその年の8月までの増加分を計算し 10月分(12月支給)から増額
→ 1年分の増額はざっくりと 年収 X 0.55%
・施行日に65歳を過ぎていたら?
→ 例えば 22年4月に68歳になる人なら 施行前の65~67歳の時期は現状のまま上澄みはない 68歳の4~8月まで5か月分が10月分から上乗せされる

・「加給年金」:「在職定時改定」の導入により 65歳時点で厚生年金に19年加入だった人がその後も働く場合 66歳時点で20年加入となるため 66歳から受給できる

・「在職老齢年金」:「特別支給の老齢厚生年金」は支給開始年齢の引き上げが進んでいる 在職老齢年金改正の対象者は 22年4月以降に特別支給の老齢厚生年金を受給する人に限られる 基本的に 男性では1957年4月2日~61年4月1日生まれ 女性は 57年4月2日~66年4月1日生まれの人

Q: フリーター・フリーランス・ギグワーカー・自営業者・非正規(短時間労働者)の味方「 国民年金基金」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の違いは?また、「小規模企業共済制度」「中小企業退職金共済制度」についても知りたい そしてそれらのメリット・デメリットを教えてほしい



A :個人事業主等の第一号被保険者にとって公的年金に上乗せして老後資金を貯める事のできる制度は以下の3つがあります
・国民年金基金・個人型確定拠出年金iDeCo・小規模企業共済制度

「国民年金基金」のメリット
〇 自営業者やフリーター・フリーランスなど国民年金の第1号被保険者人が加入できる
〇 国民年金の保険料を納めている20歳以上60歳未満の方が加入できる制度 国民年金法の一部改正により、国民年金に任意加入されている60歳以上65歳未満の人も国民年金基金に加入できるように
〇 「確定給付年金」つまり、将来受給可能な年金額が確定している
〇 国民年金基金は、固定利回り(加入時の予定利率)が確保されている(現在の予定利率は1.5%)→ 自分で運用する必要がない
〇 掛金の全額が「社会保険料控除」また、将来的に受け取る年金も「公的年金等控除」の対象
〇 満額なら81万6000円まで社会保険料控除を増やせる 運用し、節税しながら老後対策ができる
〇 A型・B型の2種類からなる「終身年金」への加入を基本とし、追加でI型からV型までの5種類からなる「確定年金」を選ぶことができるなど、自分で自由に設計することが可能
〇 加入は口数制 何口加入するかによって将来の給付額が決まる 一口あたりの掛金は加入時の年齢や性別、選択した給付の型で決まる 最大掛金は、月額6万8,000円
〇 自営業者は、国民年金基金とiDeCoを併用できる 掛金の上限は2つ合わせて月額6万8,000円
〇 保証期間中や年金を受け取る前に死んだ場合、遺族に非課税の「遺族一時金」が支払われる
〇 4月から翌年3月までの一年分を前納すると0.1ヶ月分が割引に(ただし、前納した分を減口することはできない
「国民年金基金」のデメリット
● 加入資格は「国民年金の第1号被保険者なら誰でも」ですが 65歳以上・国民年金の未払いまたは免除の人・農業者年金の被保険者は対象外
● 「繰り上げ受給」も「繰り下げ受給」もできない ただし 受給手続きをしなくても 時効で受給権がなくなるということはない
● 加入途中で会社員になるなどして第2号、第3号被保険者になると、加入資格を失う すでに支払ってきた掛金は将来的に年金として支払われる制度 脱退時に返却されない
● 一度加入すると加入資格を失わない限り途中解約できない(口数変更なら可能)どうしても1口目の掛金が支払えない状況になったら、支払いをストップする手続きも取れる(2年以内なら追納可)
● 原則65歳(Ⅲ型、Ⅳ型及びⅤ型は60歳)までは受け取れない
● 国民年金基金に加入すると、国民年金の付加保険料を納める事はできない(国民年金基金が付加年金を代行しているため)
● 国民年金の老齢基礎年金を繰り上げ受給した場合、繰り上げ受給を開始した時から、国民年金基金の付加年金に相当する部分が減額されて支給される(65歳以降も引き続き減額される)
加入時の年齢 1口目の年金月額(基本額) 2口目の年金月額(基本額)
35才誕生日まで 20.000円 10.000円
35才1月~45才誕生月 15.000円 5.000円
45才1月~50才誕生月 10.000円 5.000円
50才1月以上 加入月数により異なる 加入月数により異なる

・いずれの年金も 基本額に加えて 運用成績に応じたボーナス給付(配当金)制度がある
こちらもご覧ください → 「全国国民年金基金」

「iDeCo(個人型確定拠出年金)」のメリット・デメリット

こちらもご覧ください  「iDeCo公式サイト」(国民年金基金連合会)
→ ブログ「116. iDeCo」をご覧ください

「小規模企業共済制度」のメリット
〇 個人事業主や小規模企業の経営者または役員が加入できる退職金制度(ただし、配偶者等の事業専従者や学業を本業とする全日制高校生、生命保険外務員などは加入することができない)
〇 従業員数等の要件を満たしている時(小規模企業)に加入しておけばその後規模が大きくなっても継続することは可能
〇 国民年金基金の場合 加入年齢は59歳11ヶ月までに制限されているが、小規模企業共済の場合 加入年齢制限はない 事業を廃止するまで掛金を納める事ができる
〇 掛金の全額が所得控除(小規模企業共済掛金控除)になる
〇 毎月の掛金は、1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)で自由に選択することができ、加入後も自由に増額・減額ができる また、掛金が支払えない場合には一時期的に支払いを止める「掛け止め」もできる
〇 小規模企業共済制度は、固定利回りが確保されている(現在の予定利率は1.0%)
〇 共済金は、廃業・解散・解約時に受け取ることができる(満期や満額というしくみはない)共済金の受取は「一括」「分割」「一括と分割の併用」から選択することができる
〇 共済金の一括受取を選択(65歳以下の任意解約等を除く)すると「退職所得」扱いになり、分割受取を選択すると「雑所得」扱いに「事業所得」などに比べて税負担が大幅に軽くなる
〇 6ヶ月以上積み立てると、廃業した場合に共済金を受け取ることができる また、12ヶ月以上積み立てると、解約手当金を受け取ることもできる
〇 掛金の範囲内で事業資金の貸付制度を低金利(年利1.5%)で利用することができる(即日貸付けも可能 さまざまな種類の貸付けがある)
〇 国民年金基金・iDeCo(個人型確定拠出年金)とは別で加入できる(併用できる
「小規模企業共済制度」のデメリット
● 以下の場合には掛け捨てとなる
 ①掛け金納付月数が6ヶ月未満での会社の解散や役員の退任(疾病、負傷、65歳以上での退任)
 ②掛け金納付月数が12ヶ月未満での役員の退任(疾病、負傷、65歳以上での退任を除く)
 ③掛け金納付月数が12ヶ月未満での任意解約
● 「掛金納付月数が240ヵ月(20年)未満の場合は元本割れとなる」(任意解約の場合)
● 退職金や公的年金の額等によっては、受取時に税金が発生する場合がある

 こちらをご覧ください → 「小規模企業共済」

「中小企業退職金共済制度のメリット
〇 独自の退職金制度を持たない中小企業の代わりに 勤労者退職金共済機構がその運営を引き受ける
〇 従業員(全従業員加入が原則)のみが加入でき 事業主は加入できない
「中小企業退職金共済制度」のデメリット
 


Q:現在 個人事業主・フリーランスとして働いています 病気や事故で働けなくなった時のリスクへの備え方を教えてください

Q&A「社会保障」のページをご覧ください

Q:「思ったほど遺族年金は多くない 当てが外れた」と感じる ” 残された妻 ” が多いと聞きました 知らないことや勘違いがあるような気がします 実態を教えてほしい

   



中高齢の寡婦加算 遺族基礎年金失権後の激変緩和措置 妻が受ける遺族厚生年金に 40歳から65歳になるまでの間 596,300円(年額)が加算される(生計を同じくしている子がいない妻の場合)
経過的寡婦加算 遺族厚生年金を受けている妻が65歳になり 自分の老齢基礎年金が中高齢寡婦加算より少なくなってしまうのを防ぐための一定額の加算(1956(昭和31)年4月2日以降生まれの妻にはつかない)

*「中高齢の寡婦加算」「経過的寡婦加算」:いずれも「寡婦」と付いている → 妻を亡くした夫には出ない
 詳しくは「遺族厚生年金」(日本年金機構)をご覧ください


寡婦年金 10年以上国民年金保険料を納めた(免除を含む)第1号被保険者である夫が亡くなったときに 10年以上婚姻関係がある妻に夫の老齢基礎年金の3/4が支給される(60~64歳まで 老齢基礎年金の繰り上げ受給をしている場合は発生しない)
死亡一時金 36か月以上国民年金保険料(免除による一部納付を含む)を納めた第1号被保険者である夫が亡くなったときに 遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の優先順位)に夫が納めた保険料の額に応じて12万円~32万円が一時金として支給される

*「寡婦年金」と「死亡一時金」:対象となる子どもがなく遺族年金がもらえない第1号被保険者を救済するために設けられた制度
・いずれも 夫が老齢基礎年金や障害年金を受けていた場合は支給対象とならない
・いずれかの選択となり、両方を受けることはできない
・いずれも配偶者を亡くした妻向き  →  妻を亡くした夫には出ない


A:「遺族年金」:亡くなった人が国民年金に加入の自営業者やフリーランスなら「遺族基礎年金」、厚生年金に加入の会社員や公務員なら「遺族基礎年金」に加え「遺族厚生年金」が支給される残された妻 そこで押さえておきたい 「遺族年金のポイント 」 ①~⑲

「遺族年金は残された妻に支給されるものだと思いがちだが「まず優先されるのは18歳未満の子ども」遺族基礎年金の支給期間は子どもが18歳になった年度末まで 遺族基礎年金は基本額が年約78万円(18年度)で、子の人数に応じた加算がある 子がいないともらえない
 →「年配の自営業者の多くは遺族基礎年金はないと考えた方がよい」
 遺族厚生年金も、受け取り順位の1位は子のある配偶者か子」(2位が「子のない妻」)仮に子が独立した夫婦の場合(遺族厚生年金の金額は、亡くなった人の給料や保険料納付済み期間で変わる)もし、妻とは別の女性との間に生活費の面倒をみていた18歳未満の子がいれば、遺族厚生年金は子の方に支給され 妻がもらえるのはその子が18歳になってから それまで妻には支給されない場合が多い
 受け取る側には「亡くなった人に生計を維持されている」という条件があり 原則として自身の前年の年収が850万円未満 ただし、いったん受け取り始めれば、その後年収が850万円を超えてももらい続けることができる(30歳未満で子のない妻の場合、遺族厚生年金の支給は5年の有期)
 →「子育てを終えた世代では、夫が亡くなれば後に残る妻がもらうのが一般的」

遺族年金受給者 遺族基礎年金:約10万人 遺族厚生年金:約550万人(年々増加 大半は夫を亡くした妻)「平均受取額はともに月8万円台(もともと思ったほど多くない)」(厚生労働省)年金世代はこれに自分の老齢基礎年金などを加えた金額がその後の生活の基盤に

遺族厚生年金では「妻や夫は事実婚でもOK」遺族年金の手続き:通常は死亡診断書や住民票、生計維持証明の書類などを年金事務所などに提出するが、事実婚は、これらに加えて結婚を証明する書類が必要に
 妻に先立たれた夫も該当(ただし、遺族厚生年金では夫は55歳以上で、もらい始めるのは60歳から)子も妻も夫もいなければ、父母や孫、祖父母が優先順位に応じて受け取れる

2017年8月に老齢年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されたが「遺族年金は変更なし」65歳を過ぎて老齢年金の資格を満たした人が亡くなっても、保険料納付済み期間(免除期間など含む)が25年に達しなければ支給されない

「遺族厚生年金は、一般的には老齢厚生年金の4分の3」
 被保険者が亡くなった場合 25年を満たしていれば問題ないが、足りなければ保険料の納付済み期間が全体の3分の2以上、または直近1年間の未納月ゼロといった条件がある(会社員から自営業に変わるなどして厚生年金の被保険者で亡くなった場合は、国民年金と合わせて25年以上の加入期間があれば良い)ずっと会社員なら心配ないが「途中、脱サラや転職で勤めていなかった期間が長く 国民年金の期間が長いと金額は少ない」

「Aさんの例」子は18歳を過ぎていたAさん:20年勤めた会社を辞め、半年後 転職の準備中に事故で亡くなる → すでに厚生年金の被保険者ではなかったので遺族厚生年金は出ない(25年間要件は満たしていない)子は18歳を過ぎていたのでAさんの妻は遺族基礎年金ももらえない 国民年金では3年以上保険料を払った人が死亡すると納付月数に応じた「死亡一時金」が出るが、厚生年金に一時金の仕組みはない
 → Aさんは「長く保険料を払い続けたのに、妻は何ももらえない」
 → 現役の会社員等が亡くなった場合 被保険者期間が25年未満の場合は、25年間加入していたとして計算する(25年間要件特例)

「遺族厚生年金をもらっている人が再婚(事実婚も一緒)を考えるときは、その年金額と新しいパートナーの収入とを見比べたい」(社労士の井戸美枝さん)遺族厚生年金はいったん支給が始まれば、原則、生涯もらい続けることができる「ただし再婚したら権利を失う(事実婚も一緒)」

近年話題の「死後離婚」一般に「姻族関係終了届」を提出して相手側の親や兄弟らと縁を切ること → 遺族年金はもらえなくなる? 配偶者死亡の際に確定した遺族年金の受給権とは関係ない 受け取り始めた遺族年金は「死後離婚」しても原則もらい続けることができる

妻が遺族厚生年金を受け取る場合の年齢に応じた加算「中高齢寡婦加算」40歳以上で18歳到達年度末日までの子ども(1級・2級障害がある場合は20歳未満の子ども)がいない妻に年額585,100円(2019年度の額)が遺族厚生年金に上乗せされ65歳になるまで続く 以後は自分の老齢基礎年金に置き換わる 生年月日によっては65歳以降に「経過的寡婦加算」をもらえる人もいる(1956(昭和31)年4月2日以降生まれの妻には付かない)これらは、「いずれも「寡婦」と付いている →妻を亡くした夫には出ない」

65歳になると年金額はそれ以前より増えるイメージがあるが、「65歳になって中高齢寡婦加算が老齢基礎年金に置き換わると金額が減る妻もいる」
 自身に国民年金の第1号被保険者(自営業者ら)の期間があってその間の保険料を払わなかったり、免除手続きをしたり(全額免除すれば年金額は半分しか増えない)また、夫の死後、第3号被保険者(会社員らに扶養される配偶者)から第1号に変わる際面倒なので免除申請する人も少なくない

最も多い勘違いは「亡くなった人の年金全体の4分の3をもらえるというもの」実際には遺族厚生年金の金額は老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3であって、老齢基礎年金などは対象外「思ったより金額が少ない」という人がいるのは多くがこのため

65歳より前に遺族厚生年金をもらうときは、自分の60代前半の老齢厚生年金と遺族厚生年金のどちらか有利な方を選ぶ 妻がもらうときは金額が高い遺族厚生年金を選ぶ人が多い
 65歳からは自分の老齢厚生年金と遺族厚生年金とで支給額の” 調整 ”をする まず自分の老齢厚生年金を全額受給し、その金額が遺族厚生年金額(亡くなった人の老齢厚生年金の4分の3)より少ない場合、差額を遺族厚生年金として受け取る 65歳の前と後で厚生年金の名目上の支給額は変わらないが、非課税の遺族厚生年金部分が減るので手取りが減少することもある この ” 調整 ”を知らず「自分の老齢厚生年金に遺族厚生年金が丸ごと上乗せされると思い込んでいる妻も少なくない」

「Bさんの例」(夫に先立たれ、年金額を増やしたいと働きに出た妻B)
 夫を亡くした50代後半のB子さん 遺族厚生年金はあったが、自分の年金を増やしたいと厚生年金に入って働く
 しかし、65歳が近づいて年金額を調べると、老齢と遺族合計の「厚生年金額は全く増えていなかった」(自分の老齢厚生年金額が遺族厚生年金額の4分の3相当を超えなかったので、差額部分が減っただけで合計の厚生年金額には影響がなかった 支払った年金保険料は無駄に)ただ、老齢基礎年金は増え、健康保険料と介護保険料を会社が半分負担してくれるメリットはあった


・上図Cのように、65歳以降に受け取れるのは夫の老齢厚生年金の4分の3(図では90万円)から、自分の老齢厚生年金(同40万円)を差し引いた額(同50万円)もし自分のほうが高ければ遺族厚生年金は出ない
 →「厚生年金に加入して働いても、遺族厚生年金の4分の3相当を超えない限り年金額は増えない」

「「繰り下げ」をした人が先に亡くなると意味を失ってしまう」
 例えば、ある夫が老齢年金の「繰り下げ」をし亡くなった場合、妻がもらう遺族年金は、夫の65歳時点の老齢年金額を基に計算される(もらい始める前の待機中に亡くなっても同じ)

「妻が「繰り上げ」受給した場合のデメリット」
 妻が、老齢基礎年金を繰り上げてもらい始めてから配偶者を亡くすと(基礎・厚生 一方だけの繰り上げは出来ない)、65歳になるまで遺族厚生年金を併給して受け取ることができない
 また、妻が自分の老齢基礎年金を繰り上げていたら「寡婦年金」(国民年金の第1号被保険者(自営業者ら)の夫が亡くなったとき、10年以上の納付期間があるなどする妻がもらえる年金)は受給できない

「妻が「繰り下げ」受給した場合のデメリット」
 妻が自分の年金を繰り下げていた場合 その後に夫が亡くなった場合 支給額の調整の結果 妻の受け取る年金の額が繰り下げない場合と同じなら 繰り下げ待機中にもらわなかった分だけ損に(支給額の調整の結果 非課税の遺族厚生年金部分が減るので手取りが減少することもある ただ、妻の老齢厚生年金の額が大きければ 繰り下げ増額は夫の死後も反映されやすい)→ 夫の遺族年金との調整がない基礎年金だけ繰り下げるのも選択肢
 妻が繰り下げている間に夫が亡くなった場合は「遺族年金の受給権ができると 法令上 もう繰り下げは続けられない」

在職老齢年金制度で年金が全額停止になっていた夫が亡くなると、遺族年金はもらえないと思っている妻がいる」
 実際には支給されるはずだった年金額に基づいて遺族厚生年金を受けることができる(一部停止でも同様)

夫の生存中は妻が自分の老齢厚生年金をずっと受給できる「夫婦ともに長生きするリスクに備え 妻がたくさん働いたり 繰り下げたりして金額を増やす事を基本とすべき」夫婦ともに長生きするリスクは大きい

⑲18歳未満の子がいる妻(母)は 会社員の夫に先立たれると遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取れる(この場合は妻に支給される)年金を受給する妻が再婚すると両方の受給権を失い 代わりに子が18歳になるまで受給する ただし 「子は再婚した妻と生計を同じにすると 遺族基礎年金は支給されず 遺族厚生年金だけになる」再婚相手と養子縁組をしても 遺族厚生年金は受給することができる

Q:障害年金について詳しく知りたい うつ病やがんも対象で 自分が対象になると知らずに 申請をしない人が多いということですが?


・障害基礎年金(2024年度)
障害の状態 受給額 子の加算額
1級 1.020.000円 2人目まで:1人につき234.800円
3人目以降:1人につき78.300円
2級 816.000円 同上
・障害厚生年金・障害手当金(2024年度)
障害の状態 年金額の計算方法
1級 報酬比例の年金額 X 1.25 + 配偶者の加給年金額(234.800円)
2級 報酬比例の年金額 + 配偶者の加給年金(234.800円)
3級 報酬比例の年金額(最低保障612.000円)
障害手当金 報酬比例の年金額 X 2(一時金:最低保障1.224.000円)

〇 年金額は 2級をベースとしており 1級は2級の1.25倍
〇 2級の障害基礎年金の額は老齢基礎年金の満額と同額(老齢基礎年金のように保険料の未納部分を減算するような計算は行わない)
〇 2級の障害厚生年金の額は 老齢厚生年金の報酬比例の年金額と同様の計算を行う(ただし 加入月数が合計300月未満の時は 300月とみなす)
〇 障害認定日の属する月後の加入期間は年金額計算の基礎に含めない
〇 初診日が20才前にある傷病によって障害基礎年金が支給される場合は 国民年金の加入や保険料の納付は要件とならない 受給者の前年の所得が一定額を超える場合 その年の10月から翌年の9月までの1年について 年金額の半額または全額が支給停止となる
〇 初診日が厚生年金保険の被保険者期間中である傷病が 初診日から5年経過するまでの間に治癒し その時の障害の程度が3級よりやや軽い場合は 年金ではなく障害手当金が一時金で給付される

*障害年金の受給に必要な3つの要件
① 「初診日要件」初診日:「障害の原因になった傷病につき、初めて医師もしくは歯科医師の診療を受けた日」(発病の日とは異なる場合が多い)

・柔道整復師や針きゅう師 マッサージ師の受診日は 初診日にはならない
・同一傷病で転医があった場合 一番目の医師等の診療を受けた日が初診日
・初診時に傷病名が確定しておらず (最初は異なる傷病名が付される「誤診」も含む)後に 正しい傷病名が付された場合 先の誤診時の診断が初診日となる
・過去の傷病が一度治癒してから再発した場合 再発について医師等の診療を最初に受けた日が初診日
・相当因果関係のある傷病は同一のものとして扱う(例えば 糖尿病から糖尿病性網膜症を発症した場合 初診日は糖尿病で最初に医師等の診療を受けた日が初診日)
・初診日は病名等が確定した日ではない(例えば 20才を過ぎてから初めて医師等の診療を受けて知的障害とされた場合 知的障害は医学的に生まれつきの特性として位置づけられているため 初診日は出生の日となる)
→ 初診日において以下のいずれかの条件に該当している必要がある

・国民保険の被保険者
・日本に住所を有する60歳以上65歳未満で、過去に国民年金の被保険者だったことがある人(老齢基礎年金を繰り上げ請求していない場合に限る 繰り上げ請求をすると65歳になったのと同じ扱いになる)
・20歳未満
*初診日に加入していた年金(国民か厚生か)で請求できる障害年金の内容が決まる
*基本的には 老齢年金がもらえる年齢になる前に病気やけがで障害の状態になった人が対象
② 「障害認定日要件」障害認定日:「障害がどの程度なのかという認定を行う基準日」
→ 傷病の初診日から起算して1年6ヵ月が経過した日 もしくは
→ 申請する傷病の初診日から起算して1年6ヵ月以内にその傷病が治癒した場合には、その傷病が治癒した日
 「治癒した日」とは 症状が固定し 医療行為を施しても それ以上効果が得られなくなることを指し 完治を意味するものではない(例えば 事故で腕や足を切断した場合はその切断日 心臓ペースメーカーや人工弁を装着した場合はその装着日 人工透析を行っている場合は人工透を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日などがある)
・「障害認定日において、国民年金の障害等級が1級または2級に該当する程度の障害の状態にあると判断されること」
・障害認定日(初診日から1年6ヶ月を経過した日、20歳前障害の場合は20歳到達時)に障害の状態でなかったが その後状態が悪くなった場合(事後重症)は 65歳の誕生日前に請求しなくてはならない
 → しかし、年金加入中に初診日があり 障害認定日に障害の状態であった場合や昭和61年3月31日までに20歳になった人で20歳時点で障害認定基準程度の障害に該当する状態であった人(そのことを証明できる診断書が必要)は 65歳を過ぎていても請求することができる
③ 「保険料納付要件」保険料の納付期間について 以下の要件を満たす必要がある
・初診日の前日時点で、初診日がある月の2カ月前までの被保険者期間について保険料の未払期間がないこと →「初診日の前日」での保険料の支払実績が問われる
・被保険者期間のうち、3分の2以上の期間について保険料を納付しているか納付を免除されていること(学生納付特例又は若年者納付猶予の対象期間を含む)→3分の1を超える期間の保険料を滞納していないこと
*「直近1年間に未納がない」場合の障害年金保険を受給できる特例
→ 2026年4月1日以前(令和8年3月31日までに)に初診日がある傷病によって障害が残り、初診日時点で65歳に達した日の前日以前であるという要件を満たすと、特例として遺族年金保険を受給することができる(初診日がある月の2カ月前までの被保険者期間について保険料の違法な滞納がない場合)
*初診日が20歳までの年金制度に加入していない期間にある場合は 保険料納付要件は問われない
 学生時代に保険料を滞納しており 仮に卒業してすぐ大きな事故で重い障害を負っても保険料納付要件に引っ掛かり障害年金はもらえないというケースが多い この場合忘れずに「保険料の免除申請」を

*対象は外形的な障害に限らない
・外形的な障害など ・精神障害 ・内臓などの障害
眼・聴覚・手足の障害など 統合失調症・うつ病・認知障害・知的障害など 呼吸器や心臓 肝臓などの疾患・糖尿病・がんなど

*障害年金を受給した場合のデメリット
● 家族の扶養から外れる可能性がある
→ 障害年金と他の収入を含めた総収入が年間180万円を超えると 家族の扶養から外れる
 障害年金は非課税だが、社会保険の扶養判定時には収入とみなされる 扶養から外れ 健康保険料と年金保険料を負担する必要
● 所得制限の対象になることがある
→ 受給要件を満たす限り 所得制限はない しかし 以下の2つのケースに限っては、公平性の観点から所得制限が課せられ
① 20歳未満で受給している場合(本人が保険料を納付していないため)
 1世帯(2人)の所得額が398万4,000円を超える場合、年金額の2分の1相当額に限り支給停止となり、また500万1,000円を超える場合には全額支給停止に
② 「特別障害給付金」の対象者の場合(国民年金がまだ任意加入だった時代に、初診日時点で国民年金に未加入であったことが原因で障害年金を受給できない人に対する救済措置)
 福祉的な側面が強い 受給者の所得が一定額を超えている場合は、半額または全額が支給停止に
● 寡婦年金・死亡一時金がもらえない
→ 寡婦年金・死亡一時金の受給要件の1つに「第1号被保険者の夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受給したことがない」とされているため
・寡婦年金:一定の要件を満たす夫が亡くなった際に10年以上婚姻関係にあり、死亡当時、夫によって生計を維持されていた妻が60歳から65歳の間受け取れる年金(寡婦年金を受けられなくても遺族年金を受けられる)
・死亡一時金:死亡日の前日において国民年金の第一号被保険者として保険料を納めた月数が36ヶ月以上ある方が亡くなった際に、その方に生計を維持されていた遺族が受け取れるもの(遺族が遺族年金を受給できるときは支給されない上、その遺族年金は障害年金を受けていても受け取れる)
● 「生活保護」との調整がある 生活保護費+障害年金(併せて受給)とはならない
→ 障害年金で受け取った額と同じ額が生活保護から減らされる(トータル支給額は変わらない
→ 障害年金の遡及請求が認められた場合、最大で5年分の障害年金が支給されるが、その期間に支給されていた生活保護費は返納することに また障害年金受給額が生活保護支給額より多い場合、生活保護は支給されない
● 「傷病手当金」との調整がある(障害厚生年金)
① 傷病手当金の日額が障害厚生年金の日額よりも多い場合
 障害厚生年金が満額支給され傷病手当金は(本来の支給額から障害厚生年金の支給額を引いた)残りの差額のみ支給される
② 傷病手当金の日額が障害厚生年金の日額よりも少ない場合
  障害厚生年金が満額支給され傷病手当金は全額支給停止に

*しかし障害年金の審査は数ヶ月かかるので以下のようなケースも当然ある(傷病手当金と障害年金の額調整が取れない場合)
① 同一傷病で傷病手当金と障害年金を同時にもらってしまった場合
→ 返還義務あり 傷病手当金を受給している人が障害年金の請求をする場合は傷病手当金の返金のことも視野に入れて請求する必要がある
②(例外)傷病手当金と障害厚生年金の元々の傷病が「同一ではない場合」
→ は支給の調整はない 従って傷病手当金と障害年金を同時に満額受け取ることができる
 現在 傷病手当金を受給中で今後、障害年金の申請を考えている人は事前に確認しておいた方がよい
● 「加給年金」が貰えない
→ 加給年金の対象となっている配偶者が障害年金をもらっている期間は 加給年金は支給されない
● 65歳以上になると「事後重症請求」ができなくなる
→ 65歳以上になった場合「認定日請求」または「遡及請求」のみが可能に
・「認定日請求」とは:初診日が確定し、その日から1年6ヶ月後の障害認定日で障害等級が判断される この障害認定日の1年以内に行うのが「認定日請求」行われるケースは少ない)
・「遡及請求」とは:認定日において、障害の程度が障害等級に該当していたにもかかわらず請求していない場合に可能なのが「遡及請求」

「遡及請求」
→ 過去5年分を遡って請求し、一時金として受け取ることが可能(障害年金には5年間という時効がある)
・手続きにおいて以下2点を準備しなければならない
① 障害認定日から3ヶ月以内の症状で作成された診断書
② 請求時の3ヶ月以内に作成された診断書

「①の診断書を準備するのが困難な場合」
(たとえば受診した医療機関でカルテの保存期間を過ぎてしまっていて 記録が残っていない場合)
→「事後重症請求」を行うことに
 この場合、障害年金の請求書を「受理した日」が「障害認定日」となり、その翌月分からの支給となる(過去に遡って請求することはできない)(たとえばうつになってしまった場合)障害認定日での症状は軽く 認定されなかったが、状態が悪化して重度の等級に当てはまるようになった場合
・65歳前であれば 診断書を提出し「事後重症請求」が可能
・65歳以降の請求となると「事後重症請求」ができない(障害年金を受け取ること自体が難しくなる)
・ただし 老齢基礎年金を繰り上げて受給している人は 事後重症による請求はできない
● 「国民年金の法定免除制度」の申請ができるが・・・(扶養から外れてしまった場合)
 申請ができるのは : 障害基礎年金ならびに障害厚生年金・障害共済年金の1級または2級以上を受けている人(3級・障害手当金の人は該当しない)
→ 平成21年3月以前の期間は1か月を1/3、平成21年4月以降の期間は1か月を1/2の割合で納付したものとみなされる(将来もらえる老齢基礎年金の額は、法定免除を受けた期間分について 1/2、1/3に減額される)
● 休業中に健康保険から支給される「傷病手当金」を申請する場合 この申請書に障害年金の受給の有無をチェックする項目がある
● 「実際の受給までに時間がかかる」
 障害年金の受給要件である障害日認定には、初診日から1年半が経過している必要がある そこから障害の審査が始まる 障害等級の審査には日数を要す(障害基礎年金であれば約3ヵ月、障害厚生年金であれば約3ヵ月半ほど 傷病により主治医に照会することもあり、長い場合は半年程度)



「社会保障制度の男女差は酷い」と嘆く” 高齢者となった夫 ” や ” 残された夫 ” が多いと聞きました その実態を教えてください

 Q&A 「社会保障」のページにて