062. Summertime



一時期 コロナ禍のなか「休校で遅れた授業をゆっくりと 取り戻すこと・ 学校行事をやり直す時間ができる」と 議論が活発になった「9月入学・9月新学期」案
 政府等が検討した「案」その メリット・デメリットを整理してみました


*下記表は 2021年9月に移行する場合を示したもの 想定年度がずれた分は その分(年数)ずらしてお考え下さい


・上図出典:朝日新聞デジタル



・上図出典:日本経済新聞



・上図出典:佐賀新聞



「9月入学」のメリット
〇 受験時期が夏になり インフルエンザの流行や大雪の恐れがある冬の入試を避けられる
〇 欧米・中国等と足並みが揃い 留学や大学の国際化を促進でき 相互往来がスムースになる
〇 学年の途中に夏休みが入らず 学習が長期間中断しない
〇 年間で最も長い夏休みを学年の変わり目に置くことで 学校運営がしやすくなる
〇 学生は夏休みに充分時間をかけて 様々な経験を積むこともできる
〇 教員は夏休みに充分時間をかけて 新年度の準備ができる
〇 留学経験者らと就職時期を合わせられる 従来の新卒一括採用が一気に変動する可能性も
〇 コロナ後の新時代 社会変革のシンボルになる

「9月入学」のデメリット
● 企業や自治体の会計年度と学事年度がずれる
● 入学が遅れる幼稚園・保育園の年長児童(預かり期間が延長される)の受け皿が必要に
● 現在の学年が分断される可能性「子どもたちにとって受け入れられない」(幼稚園で一緒でも誕生日が9月1日以前・以後で別学年になる)
● 就職が遅れ 収入がない中 5ヶ月分の生活費がかかり学生が困窮する(または 卒業までの月日が増えることとなり 授業料負担が重くなる)浪人生は入試時期が変更されると 浪人期間が5ヶ月伸びる
● 私立高の収入減(授業料収入が5ヶ月入らず)による経営悪化・経営危機が懸念される
● 移行に多額の費用がかかり(5兆円規模の予算措置が必要とされる)また 多くの法改正が必要(5年かけ移行する場合は 毎年のシステム改修が必要)
● 4~8月に企業や官公庁は労働力を十分に確保できなくなる恐れがある(9月入学・新学期では 3月に卒業生を送り出せなくなる また 現状よりも5ヶ月間 学習を始める時期が遅くなり 国際競争力を下げる可能性も)
● 学校の年間計画(学校行事や入試等)の変更が求められ 教員への負担が重くなる(60歳の年度末退職のため 学年の途中で定年退職する教員が出ることも)
● 3月卒業に合わせた公的資格試験とずれる(多くが 卒業時期 翌春から逆算したものになっており 日程変更は必至)
● 学生の生活環境が急に変わり 体や心に大きな負担を与える(保護者にとっても多くの戸惑いを生む)保護者の勤務先の転勤は4月が多いことから 9月入学・新学期となった場合 卒業を間近に控えた時期に転勤を言い渡される家庭も多く出る可能性がある
● 夏に入試を行うこととなると 現状では5月から8月にかけて集中している大会(高校総体・夏の甲子園など)に 最終学年が参加することは難しい(プロ野球でドラフト指名された選手がシーズン前に入団できない)
● 卒業・入学・別れと出会いは春という季節感や文化が損なわれる(卒業式の定番となった袴は夏は暑く レンタル業者が悲鳴をあげる)また 卒業式・入学式の際、熱中症の危険が高まる



 


 


(大げさに言えば「9月入学・9月新学期」は 一種の「社会変革」ともなりえる しかし 様々な方面に大きな影響を与えることは事実
 考察して改めて分かることは「変革」には「熟慮」が必要だということ そして 多くの賛同者がいなければ その実現は極めて難しい
 個人的には メリットの2つ「受験時期が夏になり インフルエンザの流行や大雪の恐れがある冬の入試を避けられる」「学生は夏休みに充分時間をかけて 様々な経験を積むこともできる」これが全て 受験もしましたが「何でこんな時期なんだ!?」とも思っていた

 「長い夏休み(充分に長い自由な時間)」は特に学生・若者には必要です もちろん リカレント教育(社会人の学び直し)を目指す 誰にとっても必要です 長い旅に出るもよし 企業内研修・体験をするも良し 季節労働者となって農業体験をするもよし 受験勉強に没頭するもよし 苦手科目をじっくりと克服するも良し 部活に全てをささげるもよし 図書館に通い詰めるもよし ボランティア活動にのめり込むもよし 家事を一手に引き受けてみるもよし 映画を見まくったり 本を読みまくったりするもよし お試し合宿をしてみるのも良し 社会の底辺や格差に積極的に接することもよし 体を鍛えなおすのもよし 山寺で修行するのも良し 資格試験勉強に没頭するもよし リゾートとかでバイトに精を出すもよし その時期に自活してみるも良し 自由研究に没頭するもよし 英語漬けの1ヶ月を過ごすもよし)


2022年03月03日