043. 田舎暮らし

 コロナ禍の長期化で 首都圏などから地方への移住を本気で考え そして実行する人が増えているという 下記の表からは一時的な動きとも思えるが テレワークが「地方移住」のハードルを下げているのは事実

・上図 出典:東京新聞

 「感染リスクを避けたい」「子育ては豊かな自然の中でしたい」「生活コストを下げたい」「ラッシュや混雑はほとほといやだ」「大地震に都会で遭遇したくない」「昔から田舎暮らしに憧れていた」「田舎で静かに暮らしたい」「田舎で農家になりたい・農業をやりたい」「古民家カフェか骨董屋か蕎麦屋か旅館をやりたい」「とにかく囲炉裏と五右衛門風呂と薪ストーブのある古民家に住みたい」「自給自足に近い生活がしたい」「子どもの頃の暮らしをもう一度したい」「憧れは ドラマ「北の国から」の五郎の暮らし」「都会と田舎の二拠点生活がしたい」「人間到る処青山あり」「都会の生活に疲れた」などなど その理由は様々(かつてのお客様の実際の声です)

・上図 出典:エキサイトニュース

 田舎も様々 行政サービス(医療・福祉や公共交通等)がまずまずの地方都市の都市部から農村部~僻地(中山間地の限界集落)まで選択肢は様々
 一軒家に住むか アパートに住むか 都市部のマンションに住むか 別荘に住むか 分譲リゾートマンションに住むか 住み方もいろいろ





 「老後不安もあり 生活コストを下げたい」と「地方移住」を考える人もいるが「生活コスト」の中で首都圏等と比べ田舎の方が低いのは ほとんど「家賃」だけ(といっても間違いではない)「家賃」と同じように「老人ホーム」等の入居一時金や利用料も低い


・" 田舎 ”で「生活コスト」を抑えられない理由

● 公共交通機関がないに等しい 1日に2~3循環しかないバス便(夜は期待できない)よって どうしてもTAXIの利用が増える(その料金は ほとんど都会並み またはそれ以上)
● 車を手放せない 維持費がかかる 世の中は シェアの時代にシフトしようとしているのに 将来にわたり まずそれは期待できない どこに行くにも車が必要(家族の人数分必要なことも)
● 食費・食料品が安くすむといわれるが そんなことはありません 昨今は 都会も田舎のスーパーも 北海道産やら 鹿児島産やら 特産地産の品物を並べているし 地物は地物でその 生産農家等の都合もありそれほど安くはありません(新鮮は新鮮です)
● 交際費がかかる 地下鉄に乗ってちょこっと集合というわけにはいかない 娯楽費がかかる コンサートに行くにも寄席に行くにもテーマパークに行くにも ちょっとした旅行となる
● 人生を豊かにする旅に行こうとするも 空港に行くだけで ちょっとした旅行になってしまう
●「自然が美しい」 環境に住むということは「生活環境が厳しい」「自然環境が厳しい」ということ 暑くて寒い 雪も深い すなわち光熱費がよりかかる
「自然が美しい」ところに住んでいるゆえ いわゆる「景勝地」「観光地」「温泉地」が 比較的近いところに多くあり ついついいろいろなところに出かけてしまう ここぞというところに こだわりの「食べ処」が多く ついつい出かけてしまう(近いとはいえ 結構かかる 田舎は広い)
●「自然が美しい」環境にいる故 自然相手の新たな趣味にはまってしまう 山登り・キャンプ・釣り・天体観測・写真撮影等々 装備や道具もそこそこかかる しかも際限がない
●「有機野菜」にこだわるあまり 自分で 有機農業を始めてしまう(手間も時間も金もかかる)味噌作り・保存食作り・ジャム作り等にはまり 材料や工法にこだわり経費が思った以上にかかる(烏骨鶏にはまった人もいた)
暖炉や囲炉裏を自作しようと思い 大がかりなリフォームをする羽目に 薪ストーブや五右衛門風呂や井戸 にこだわり 出費がかさむ(薪を確保するのも大変)
● 夫婦で田舎暮らしを始めたが 一方がいやになり 都会に帰ってしまう 二拠点生活(別居)となり 生活費がかさむ

●「生活コスト」を抑えた「田舎暮らし」を送ることはもちろん可能です それには ある程度の覚悟と「それなりのこだわり」が必要です 極端な例ですが 時々メディアでみる「ぜ~んぶ込み 月5万円の田舎暮らし」とか・・・実践している人もいます





・あるアンケートによると(下記)

・上図 出典:ameba



「田舎暮らし」こんなことが!
  失敗例((古い)空き家購入パターン)

・失敗①「バス停に近い物件を買った」
 一日に4往復とはいえ うまく使えば大丈夫と思っていたが 数年後にそのバス路線が廃止に → まもなく「デマンドバス」の運行が始まりかえって便利になった? → 数年後さらに「デマンドバス」の運行曜日が週3日に 生活にメリハリが付くことに!?
 「デマンドバス」:乗車に事前予約が必要なバス 通常は路線を定めず 利用者の呼び出しに応じて一定区域内の輸送にあたる

・失敗②「水道は無いが 井戸のある物件を買った」
 数年後 井戸が枯れる 公営水道を引くのは50m先の水道本管から引っ張って来なければならず(費用(負担金):約150万円)
 ちょっと悩んだが 「川で洗濯」ならぬ「沢の水で洗濯・洗い物・入浴・洗顔」することに 食事用の水は 近くの「名水100選」には選ばれてはいないが 遠くからも 「これでお茶を入れると美味しい」とされる水を汲んできて使うことに 水の有難味がしみる 何か楽しい感じです!?  映画「裸の島」(新藤兼人1960)を思い描いて生活しています。


・失敗③「農業をしたくて 空き家とは別に 農地を仮登記で買った」
 農地の売買に関しては、重要事項説明書のその他事項および、契約書の特約事項に下記が明記されてはいるが・・・

1.下記内容の農地の所有権者の念書を添付する。「農地は売買を原因とし所有権移転の仮登記となるが、買主若しくは買主の指定する者が農地法の許可等を申請する場合は、費用は買主若しくは 買主の指定するものが負担するが 農地の所有権者は全面的に協力するものとし、所有権者は相続にて所有権者に変更が生じても、所有権の主張はしないものとし、これを代々承継するものとする。」

 しかし 後々の事も考え 地元の農業委員会にも相談した結果 もう少し農地面積を広げれば(売買なり賃貸なりをして)農業資格が取得でき 農地法の許可が降りると聞き また 休耕地(予備軍も)が多くあることも分かり その方向に動くことに
 → 地元のいろいろな人たちに相談することにより繋がりも出来たし 農業をやっていく覚悟もできた!?(実際大変らしいです 余裕のない就農はお勧めできません)
 → ブログ「010. 3条・5条(資料)」もご覧ください

・失敗④「近くに農業集落排水(田舎の下水道)が通っている農家民家を買った」
 ボットン型はどうしてもいやだったので 農業集落排水に接続しようとしたが 一部他人の土地を通さなければならず 当初の話とは違いその土地所有者の気が変わり 排水管を設置することが出来なくなる
 → 合併浄化槽を設置することに これには補助金が出ることが分かり(大きさにもよるが施工費込みで100万円前後 その半額程度の補助金が出ることが多い) かえって良かったと思ったのも束の間 合併浄化槽の処理水の放流先でまたひと悶着 他人の田畑に排水が入らないように河川までパイプを伸ばして やっと問題解決
 しかし  合併浄化槽は設置後も 数ヶ月に一度の保守点検 1年に1回は清掃と汚泥の抜き取り作業をしなければならず費用も手間もかかり 不自由さもある
 なお「簡易水洗トイレ」というものがある(定期的な汲み取りが必要だが(場合によっては3~4ヶ月に1回で充分)コスト的にも重宝なもの)

・失敗⑤「近くにスーパーがあって 買い物が便利な田舎の空き家を買った」
 車で5分位のところに何でもそろうスーパーマーケットがあり またコンビニも近くにあり こりゃ田舎にしては便利だなと思っていた しかし 数年もたたないうちにそのスーパーの撤退が決定!一転「買い物弱者」に
 以前からCOOPの食材配達トラックが来ていたことは知ってはいたが・・
 ほどなくして 大手スーパーの移動販売車が廻って来ることに 便利ではある 今のところは その大手スーパーまで遠出してまとめ買いをしていますが そのうち全面的にお世話になることになるかも 買い物が好きな身には 多少寂しくはなります

・失敗⑥「柱や梁がガッチリ太い いわゆる「骨太の古民家」を買った」

 リフォーム代もたっぷりかかるだろうが まだまだ住めそうなので気に入っていた 外見は古民家 中に入れば「超モダン」な古民家生活を送ろうと水回りのリフォームの前に 今まで使っていた電化製品を全部持ち込んだ 昔ながらの「ガイシ引き配線」も趣があり気に入っていたのだが・・
 まずコンセントが少ない 適当な場所にない事を痛感 配線が古く 漏電しないか心配 容量的にも不安 要するに使い物にならない 作業用に外壁にもコンセントを付けたいし ・・
 技術も資格もないので 業者に全面的やり替えを依頼することに(その費用は 予想を上回る高額なものに 無資格なのに自分でやってしまうと 万が一 漏電等で火災になった場合 保険の対象外になり 取り返しのつかないことになりかねません)   


・失敗⑦「一応境界はあるが 隣地所有者と売主との間に境界についての争いがある空き家を買った」
 眺望も立地も満足しております 相手の主張通りとしても 生活するに何の支障もないので そのままお隣さんとも普通に暮らしています しかし いわゆる公図と現況の間の違いはありそうです 土地については公簿上の土地面積にて清算するということを了承したうえで売買しています
 しかし 子に残すにしても 売却するにしても やはり確実な境界をはっきりさせておきたいと思っていますが お隣さんにそれとなく言っても 土地家屋調査士を入れて測量するとなると高額な費用がかかることもあり 近い将来の「国土調査」を待ったらと言われています
 このままだと このままになりそうで少し モヤモヤしています
 「境界トラブル」についての Q&A が「不動産・住宅ローン」のページにございます ご覧ください

・失敗⑧「境界に大きな木が立っている田舎の空き家を買った」
 隣は大きな農家です 庭も立派で訪問したりすると 良く自慢されます 立派な梅の木や藤棚等もあり四季折々 目の保養にもなっています 枝が伸び 越境してくる甘柿の実は「捥いでもいいよ」といわれており ごちそうになっています 良い人たちなのです
 しかし 境界に一本大きな針葉樹があり 日当たり的にも多少目ざわりです(日当たりはとても大切です)売買の際には 「代替わりしたら大幅に剪定して木の高さも低くする」という約束事をしています 何でも代々伝わる大切な「記念樹」ということで「わしの目の黒いうちは切ってはならん」というおじいちゃんの意向を尊重しているのですが まだまだ まだまだ そのままです
 鶏も飼っており 毎朝「コケコッコー」これは田舎らしくて 気に入っています(卵も時々いただいています)ただ良く吠える犬がいて これだけはうるさい

・失敗⑨「より静かな環境で暮らしたいと公道から奥に入った空き家を買った」
 わずか20m程ではあるが 重機を借りてきて進入路を作った「街路樹」も植え 立派な門柱も建て 悦に入っていました
 しかし 雨が降ったりすると ぬかるんで 轍がそのまま固まったりして あっという間に凹凸の進入路に 砂利をひいたりするも ほぼほぼ効果はなし
 また 大雪が降った時は最悪でした 公道はしっかりと除雪してくれるのですが もちろん私道はしてくれません 大変です 郵便ポストを家の玄関前に移動しました すみません

・失敗⑩「家庭菜園も充分に出来るようにと 広い敷地の田舎家を買った」
 広いといっても300坪ぐらいですが 土が良いらしく野菜がよく育ちます 花も実も楽しめるようにと杏の木を植えました 栗の木も植えました 桃栗3年柿8年と言いますが 杏は桃の仲間でしょうか 3年目には豊作となりました
 ただ草取りが大変です TVでヤギに雑草を食べさせているというのを見て ヤギを探しました(レンタルです)やっと見つかり 電話で取りに来いというので 軽トラを借りて連れに行きました 軽トラの荷台でヤギは仁王立ち なかなかのスピードなのですが平気です 元気なヤギです 荷台から降ろすのも大変です(乗せるときは手伝ってくれました)
 ただ元気すぎるので首輪に綱を付けて庭につなぎ留めておく 当然ながらヤギは届く範囲の草しか食べません それも全ての雑草を食べるわけではなく 好き嫌いがあるのです 綱をつないだ杭の周りを同一方向(時計回り)に廻るものだから いつも自分の首を絞めています バカです
 エサはあげていません(草で充分でしょうか?)水はあげています 少し心配ですが 夜も元気に鳴いているので大丈夫でしょう 何やかやと7日でこり(健康状態も少し心配 何しろレンタルですから)再び軽トラを借り ヤギを返しに行きました 二度とヤギには頼みません 


*こんな映画があります



 旅行業から転職し しばらく 東京 練馬区・板橋区で 不動産仲介をしていた 扱う物件は大体 中古マンションか 新築一戸建て物件 一戸建ては ほとんどが 土地面積:20坪前後 1階が 駐車場と玄関だけの3階建て 価格:5000万円前後 を 30~35年ローン というような物件
 こちらへ Uターンした理由の一つが そこに感じた「チョット違う感」不動産会社としては こんな物件(価格:5000万円)を仲介したら 仲介手数料が 片手で156万円(税抜き)両手で 312万円(税抜き)それが月に何本も)
 賃貸の人生 持ち家の人生 マンションの人生 戸建ての人生 新築の人生 中古の人生 都会の人生 田舎の人生 みんな ありありです いたずらに先送りすることはしないで 知識を得ずに決めることもしないで たった一度の人生 自分らしく生きたいものです

(「人間到る処青山あり」「これがまあ終の栖か雪五尺」)

2021年11月18日